死に神の奏でる物語

ある日、兄が一冊の童話を読んでくれた。 僕はありがとうとお礼を言う。 価値観が違う兄弟はすれ違い、互いが互いを嫉妬する。

彼は熱帯魚を押し付けて死んで行った。 私は生き物駄目なのに。 それも分かって居ただろうに、何故残していったのか。 もう何も分からない。

ホットコーヒーを一つ。 彼は決まってそれを注文する。 一口目は必ず目元を緩める。 いつも仏頂面の常連さん。 伝えられなかった想い。

ゼラニウムの花言葉は《私は貴方の愛を信じない》。 夏に出会った彼女は既婚者だった。 去りゆく彼女。 泡沫の夢のような逢瀬。 出来るならばもう一度、抱きしめたかった。

ここは城の地下牢。 見張り番の男に酒をせがむ女は、ここでは無い別の世界からやって来たと言った。 女に希望は無い。 国王暗殺騒ぎでピリピリとした場内に突如現れた怪しい女。 叩き込まれた先の地下牢での//

帝国を震撼させた殺人鬼、サヴァン・グレイ。 貴族として生を受けた彼は、いつも孤独であった。 家に興味の無い父親。 顔も知らない産みの母親。 サヴァンの家族はその二人だけだ。 しかし、父親の姉が屋敷に//