ミニチュアのような永遠の波止場

いつも死にたいと思って生きてきた少女、エリカ。「生きることが悔しい」ただそれだけの理由で自殺未遂を繰り返していた日々。その強く美しい魂が消えないと信じて。

際限なく続く彼女の話を僕は聞いていた。そして、深夜。天使のような寝顔。スカイブルーとラッキーストライク。豆電球のオレンジ色の光。彼女に対する僕の感情。

福祉センターに勤める彼女、バンド仲間のリタ、今日の予定に逡巡する僕。

僕はリタから貰ったガットギターを弾いていた。帰宅した彼女からエリカの話を聴いた。長い雨が過ぎ去って、深みを増した秋の気配だけが残った。

フラッタ・リンツ・ライフのミュージック・ビデオの撮影の為、リタと僕はメグを誘って空と海を別つ岬を目指した。

夜の街が月を連れて僕の足を前へと運んだ。僕は確かに夜の街を歩いていた。

「羊を数えるのよ。そして、レインボーシープを見つけるの」と彼女は言った。僕はただ、羊を数えていた。