完全無敵と唄われる聖女と奇跡に愛された聖女達。聖女は国の道具ではない。

ワルトシュタ王国が誇る「完全無敵」と言われた聖女　アスリア・オルベルトは今日もワルシュタ王国からの命令に従い、戦地へと赴く。
「聖女アスリアよ。次の遠征先は、ナスター森林の魔物討伐だ」
「承知いたしました」
「聖女アスリアよ。次の遠征先は、ガルシュ迷宮のフロアボス討伐だ」
「承知いたしました」
表情を変えず、王の前でただ頷き続けるアスリア。そんなアスリアを『奇跡』を宿す聖女達は嘲笑い、蔑み続けてきた。
顔色一つ、表情一つ、愛想もできないアスリアは静かに心を痛めていて――。

「仕方がないの」
「ーー」
「私には、しなくてはならないことがあるんだから」

これは、聖女アスリアによる――選択の物語。