短編集

石切りの谷の水くみ女セラは、若き皇帝にさらわれ後宮で暮らすことになる。慣れない生活の中で懸命に生き、やがて美しく聡明に成長していくセラ。皇帝の寵姫として幸せになるはずが……【ウォンマガ企画・宿語りのシ//

ある日オレの前に現れた、黄色い風船と『たすけて』の文字。それは故郷の小学校を思い出させた。メッセージの意味を求め、故郷に向かったオレを待っていたのは、あの日に交わした一つの約束との邂逅……青春とはぐれ//

それはまさに運命の出会いだった。世界が認める最高の相性の僕と彼女。しかしそんな二人の時間を、価値観の違いが大きく揺らす。二人に必要なものは相性か、愛情か、それとも義務か？　交錯する想いの果てに待つ公園//

世界中に広まる不治の病。唯一の免疫保持者は「天使」として飼育されている。彼女を自由にするために、僕は彼女を奪って研究所を脱出したけれど……「僕にはわからないよ。君を連れ出したことが良いことか悪いことか//

「ごめんね、私バカだからよくわかんないわ。でも、どこにいたって、私たち一番の友達よね」

読みかけの雑誌も、きちんと片付けられた化粧品の瓶も、大好きな小麦胚芽入りのビスケットも、全てそのままだった。お気に入りのワンピースと、帽子と、ブーツと、少しの小銭と、ナナだけ消えていた。

機械によって完全に管理された世界。人類は平和に、平等に、幸福に暮らすうちに、感情を失った。最後の子供が選んだ未来は……「ねぇ、ゆいこ。ゆいこの夢は何？　僕ね、死ぬまでに一度でいいから、本物の『アマノガ//