人生旅日記
このシリーズに書いてゆく出来事は、すべて私自身が体験した事実ばかりです。
音楽の才能皆無の私が、せっかく入った慶応を退学までして、なぜプロのミュージシアンになったのか。いや、ど素人の私がプロにすぐなれたのか。そこからはじまった私の人生は、自分でも信じられない不思議の連続でした。
私の入った音楽ジャンルは、日本では戦後に生まれたものだったので、私は古株になり、頭を押さえる先輩はいませんでした。職場での嫌な思い出は皆無で、毎日ケラケラ仲間と笑い合いながら、20年間も道楽稼業を楽しんでいたのです。
あとで気がついたのは、年齢を重ねても、心の成長がなかったということ。いつまでも幼児性そのままの世間知らずで、世の中に充満する怒りの要素に、まるで気付かなかったのです。人から若く見られたはずですね。
それがある日、ほんのちょっとしたきっかけで、ミステリー小説に突然強く惹かれたのです。
推理小説というものを、夢中で書き出しました。基礎知識もないし、小説を書くのもはじめて。相談相手もいません。そして周りのだれにも打ち明けないで、執筆に没入。こうして出来上った作品を、江戸川乱歩賞に応募しました。すると、その作品が最終予選まで残った。以後五年間、応募を続けて受賞となりました。
しかし私には、専業作家になる気はゼロでした。小説一本で長い生涯を食ってゆけるなど、私にはとても無理な話だと、信じ切っていたからです。
ところが受賞の翌年には、早くも心変わりします。芸能界ときれいさっぱり縁を切りました。ここでも不思議が働いて、文壇の情勢が味方になり、私の将来を大きく変えてくれたのです。
そのほか、予想外の偶然というか幸運というか、ときには不運もまじり、とにかく思いがけない運命の流れが、私の人生をさまざまに彩ってくれました。
人生、九十歳近くまで生きると、どなたもそうでしょうが、多くの人に打ち明けたい思い出話が、沢山溜まります。私はこのシリーズを通じて、皆様に順次、それをお伝えしてゆきます。物書きになったお陰で、この歳になっても、そんな楽しいことが出来るのだと、しみじみわが身の幸せを感じています。
音楽の才能皆無の私が、せっかく入った慶応を退学までして、なぜプロのミュージシアンになったのか。いや、ど素人の私がプロにすぐなれたのか。そこからはじまった私の人生は、自分でも信じられない不思議の連続でした。
私の入った音楽ジャンルは、日本では戦後に生まれたものだったので、私は古株になり、頭を押さえる先輩はいませんでした。職場での嫌な思い出は皆無で、毎日ケラケラ仲間と笑い合いながら、20年間も道楽稼業を楽しんでいたのです。
あとで気がついたのは、年齢を重ねても、心の成長がなかったということ。いつまでも幼児性そのままの世間知らずで、世の中に充満する怒りの要素に、まるで気付かなかったのです。人から若く見られたはずですね。
それがある日、ほんのちょっとしたきっかけで、ミステリー小説に突然強く惹かれたのです。
推理小説というものを、夢中で書き出しました。基礎知識もないし、小説を書くのもはじめて。相談相手もいません。そして周りのだれにも打ち明けないで、執筆に没入。こうして出来上った作品を、江戸川乱歩賞に応募しました。すると、その作品が最終予選まで残った。以後五年間、応募を続けて受賞となりました。
しかし私には、専業作家になる気はゼロでした。小説一本で長い生涯を食ってゆけるなど、私にはとても無理な話だと、信じ切っていたからです。
ところが受賞の翌年には、早くも心変わりします。芸能界ときれいさっぱり縁を切りました。ここでも不思議が働いて、文壇の情勢が味方になり、私の将来を大きく変えてくれたのです。
そのほか、予想外の偶然というか幸運というか、ときには不運もまじり、とにかく思いがけない運命の流れが、私の人生をさまざまに彩ってくれました。
人生、九十歳近くまで生きると、どなたもそうでしょうが、多くの人に打ち明けたい思い出話が、沢山溜まります。私はこのシリーズを通じて、皆様に順次、それをお伝えしてゆきます。物書きになったお陰で、この歳になっても、そんな楽しいことが出来るのだと、しみじみわが身の幸せを感じています。
山の彼方[あなた]にあったもの ~ある幼な子の一日放浪記~
昭和のはじめ、自宅で一人留守番をしていた学齢前の幼児が、親がもどったときには姿を消していた。集まった親族一同、まんじりともせず朝まで待ったが、消息は依然不明だった。
その頃彼は、幼児の足ではとても//
掲載日:2019年 08月 21日
最終更新日:
2019年 11月 25日
キーワード:
日常
私小説
冒険
昭和
昔
迷子
ほのぼの
人生
短編
エッセイ
シリーズ
甲板のラブシーン ~一夜で消えた夢だった~
芸能界一(?)シャイなバンドマン。「俺は出たくないからね」その一言が裏目に出て、あの大物俳優とまさかの共演!?
偶然と誤解が織りなす、偽俳優のはかなくも熱い一夜。
*この作品は「カクヨム」にも投稿し//
掲載日:2019年 11月 25日
最終更新日:
2019年 11月 25日
キーワード:
日常
私小説
映画
撮影
俳優
バンドマン
昭和
短編
エッセイ
シリーズ
活弁に酔いしれた日々 ~緊迫のその場面、若侍が意外極まるものを、懐から取り出した~
活弁全盛の頃、ボクは熱烈な活弁フアンだった。母親に連れられて行った映画館。活動弁士の熱のこもった語りに、ボクはすっかり引き込まれてしまった。大人たちに混じって、映画館通い。しかし人気を極めた弁士の時代//
掲載日:2019年 12月 16日
最終更新日:
2019年 12月 16日
キーワード:
日常
私小説
活弁
弁士
活動
映画
無声映画
昭和
人生
ほのぼの
短編
エッセイ
シリーズ
お荷物にご用心 ~大胆不敵な詐欺師がいた~
世の中には、なんとも大胆不敵な犯罪をする者がいる。
盗難の被害にあい、警察署に出向いた私が知った意外な事実とは。
*この作品は「カクヨム」にも投稿しています。
掲載日:2020年 02月 04日
最終更新日:
2020年 02月 23日
キーワード:
日常
私小説
犯罪
詐欺
盗難
警察
昭和
実話
人生
エッセイ
シリーズ
届け、大漁旗にこめられた想い ~嬉しい知らせは少しでも早く~
その昔、都会地から島の漁村に移り住んだ私。
まだ洋服も普及していなかった田舎の風習に、最初は戸惑いを覚えながらも、いつしか沖合いをゆく船を眺めるのが楽しみになりました。
漁村の人びとにとっての大漁旗の//
掲載日:2020年 02月 23日
最終更新日:
2020年 02月 23日
キーワード:
日常
私小説
大漁旗
島
漁村
海
田舎
故郷
昭和
ほのぼの
エッセイ
シリーズ
飛び交うタバコ入れ ~八十年前に見た芝居の興奮、今も鮮やかに~
熱気にあふれた戸外の仮設演芸場。
「証文だぁ、証文だぁ」の掛け声とともに、観客席のあちこちから舞台に向けて、ものが投げ込まれる。
チップをくるんだ懐紙が乱れ飛ぶ。これは理解できる。しかし腰につけていた//
掲載日:2020年 03月 17日
最終更新日:
2020年 03月 17日
キーワード:
私小説
日常
祭り
芝居
演劇
故郷
田舎
ほのぼの
昔
昭和
伝統
短編
春の女神、佐保姫の空中散歩 ~姫たちの高貴なトイレ事情~
旅宿の主《あるじ》からの求めに応じて、さらさらと色紙に筆を走らせた有名歌手。
しかしここに記した句の裏側に、ある秘められた私の意図があるのを、彼自身も知らなかった。
今こそ、私だけが知るその秘密を公表//
掲載日:2020年 06月 17日
最終更新日:
2020年 06月 17日
キーワード:
日常
私小説
バンド
旅
和歌
女神
姫
トイレ
昔
昭和
実話
短編
シリーズ
鷹と小雀 ~終戦の日に寄せて~
戦争末期。アメリカ軍の日本本土空襲は、毎日欠かさず繰返された。わが家は都心から離れていたので、爆撃機の大編隊は、私の町など、完全に無視した。爆音を聞かせて、上空を通過するだけだった。しかしときおり、東//
掲載日:2020年 08月 02日
最終掲載日:2020年 08月 06日
キーワード:
私小説
戦争
空襲
爆撃
戦闘機
終戦
第二次世界大戦
実話
短編
シリーズ