最果ての場所からの旋律

作成ユーザ: KENGO
今私は四十歳になって、時々、現実なのか夢なのか分からなくなる。今まで出会ってきた人、見てきた風景、聴いてきた音色は、全てが自分が体験したことなのか、自分の創造物なのか区別がつかなくなってきている。とても過酷な環境だったり、今では考えられないようなとんでもない状況を楽しんでいたりしたが、それでも、あれこれ思い出そうとしても、所々が不鮮明で、物語は繋がっていないということが多くあった。私は一体何をして生きてきたのだろうか。毎日その日その日を生き延びることに精一杯で、先のことなどを考えず、ただただ闇雲に踠きながら這うように歩いてきた。そしてふと後ろを振り返ると、自分には何も成し遂げてきたことがないんじゃないか、という漠然とした不安と、そしてそれがこれからもずっと続くんじゃないかという絶望感が、自分の中で充満していた。

そして、それらが一体何から起因しているものなのか、少し整理してみようと思った。断片的なエピソードを紡ぎながら記憶を整理して、自分が生きてきた人生を正しく把握してみよう、と思った。するとどうだろうか。ただ闇雲に生きてきただけの人生ではなく、点と点が繋がり、実は大きな文脈の中で生きてきたことが徐々に分かってきた。私は実に恵まれていたのだった。素晴らしい人々との出会いと別れ。その中で喜びもあれば悲しみもあり、自分が思っていた以上に豊かな人生を歩んでいたことを実感した。

人生は儚く脆い。そのことを友人が死をもって教えてくれた。時に激しく、時に静かに、人との出会いは多くのことをもたらしてくれた。これからあと何年生きられるかわからないが、世間の平均寿命から考えると今の私はちょうど半分に来ている。おそらくこれからの将来は今まで以上に変化が読めない時代になるだろう。不安がないとは言えないが、これからも様々なことが人生で起こるであろうことは覚悟している。そして時々無性に叫びたくなる。自分の人生が一体何の価値があったのだろうかと。俺は何を残せただろうと。

どんな旋律でもいい。ただ無心に奏でるその姿が、どこかで見てくれている誰かの心にきっとわずかな彩りを刻むであろうことを祈って、今まで自分が歩んできた人生を振り返ってみたいと思う。

俺が二十歳になった時に初めて存在を知った妹の話

### あらすじ #### エピソード: 初めて知った妹の存在 俺には9歳年下の妹がいることを20歳になるまで知らなかった。両親が俺が6歳の時に離婚し、父親に引き取られた俺と、母親の再婚相手との間//
作品情報 N8223JG 短編 純文学〔文芸〕
掲載日:2024年 07月 12日
最終更新日: 2024年 07月 12日
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