【連載】シリーズじゃないシリーズ

同い年。 付き合って八年。 ……フられて二ヶ月ちょっと。 友人曰く、海外赴任している遠距離中だった彼女が向こうで結婚したそうだ。 遠距離恋愛中の彼女と徐々に連絡が取れなくなり……。//

「いっそ、清々しい程のクソ野郎だわ……」 　思わず独り言が漏れた。 　荒れた庭。雨風を辛うじて防いでいる建物。誰も居ない離宮。 　それらを見て、リリはため息をついた。 　これが、王と結婚した//

忘れないで。 ううん。 たとえあなたが忘れても約束は約束よ？ もしあなたがまたここに来たら。 その時は……。 不思議な月の輝く世界に落っこちて来てしまった少女、スズ。 ここは月と精霊の世界。 //

『おまえの秘密を知っている』 　ある日、フィネの机にそう書かれた一枚のカードが置かれていた。 　はて。 　秘密、とは。 　他人に知られたくないこと。知られると不利益になること。恥ずかしいこと。//

　私はソフィア・ノーディン。 　田舎男爵の次女として生まれた私が、やや嫁き遅れと言われる歳で、四つ隣の領の子爵と結婚したのは昨年のこと。 　お互い結婚から縁遠かったことで縁が結ばれ、ただいま第一子//

「というわけで、お兄様の子種をください」 　男の名はザック。 　女の名はエフィリナ。 　二人はよくある従兄妹同士であり、家も近く、本当の兄妹のように育った仲である。 「私はあの方の妻に選ばれま//

ある日、頭が痛いと中学二年生の娘が学校を休んだ。 季節の変わり目で風邪でも引いたかと、あまり大事に考えていなかった。世間はコロナコロナのまっただ中。 振り返れば、この日が娘の不登校の始まり。 //

人生ままならない。 本当に……ままならない。 深い溜め息はやがて嗚咽になってしまう。散々泣いたのに、涙が尽きることはない。 『客人一名と共に帰る。二十歳の女性だ。屋敷で一番良い部屋を用意し、滞在//