短編集

失恋の辛さから逃れるため、己れの『影』に代わってもらった『私』。心の痛みを忘れて楽になったものの、人間らしい感情も同時に忘れてしまった。 webコバルト第183回短編小説新人賞　もう一歩の作品を加筆//

穏やかな家庭を維持することだけを妻に期待し結婚した雄一。律子は期待通りの妻で問題はないが、愛している気はしなかった。 しかし、まだ新婚と言えそうな時期に急病で律子に先立たれ、雄一は妻を大切にしなかった//

五歳下の弟と遊んであげなかったばっかりに、幼い彼が失踪してしまうきっかけを作ってしまった小学生の『私』。罪悪感に心を縛られた彼女は、自分を押し殺して他人の顔色を窺うのが習い性の少女となる。 七年後、//

小学生の頃から何故か、ある種の女性から恋をされ、執着されることの多い『私』こと沖田虹子。それでも今まで無事にやり過ごしてこれたが、大学三年生の時に出会った高崎セシルの異常な執着には激しく困惑させられる//

平安時代中期。先帝の女二の宮である『私』は、周囲に言われるままに生き、結婚した。その暮らしに本人の自覚以上に絶望していた彼女は、ある日、不思議な夢を見る。鬱屈を忘れられるその夢に彼女は浸り込み、やがて//

人から放たれる【悪意】を敏感に感じ取れる吹上かおり。 自分を含めた人間に対し、密かに嫌悪感を持ったまま育つが、大学のカフェテリアで不思議な青年と出会う。浮世離れた彼は何故か、かおりに【悪意】を感じさせ//

中学生の頃の淡い初恋を心のどこかに抱えたまま、大人になった日下部葉月。 友達の彼氏がその初恋の相手らしいと知り、心がかすかに揺れる。 ガトーショコラを作りながら、葉月は心を見つめ直す。

往年の任侠映画の主人公を思わせる、渋い老紳士であるボスに心酔しているとある男の脱力コメディー。 webコバルト『権力者の犬』小説賞応募・落選作。

インド人とウニ企画参加作品。 人類の上位者である『Ｕ』とそれなりに共存している近未来。 しかしその条件は、『Ｕ』の要請で『花嫁』という名の生贄を捧げることで成り立っている。 今回の『花嫁』に選ばれた//

砂臥 環様・原案、かわかみれい・文 の、コラボレーション作品です。 アラサーの市役所職員である『俺』こと浜 武志には、高校時代からの気の置けない友人がいる。 年に一度は飲み会を開くなど、つかず離れ//

幼い頃から集団の中で違和感をかもし出してしまう『私』。 ある日、級友に気持ち悪いとののしられ、自分でも持て余す自分の存在のおかしさを思い知り、絶望する。 自分は人間じゃなく木として生まれるべきだったと//

木枯らしの吹くある宵に、路上に放置されたトランクを持って旅立つ両親の幻影を見て以来、自分の夢も人生設計も狂いだした『彼』。 生活の為に慣れないスーツで就職活動をするが、あまり上手くゆかない。 ぐったり//

念願の大学へ入学したにもかかわらず、生きる気力を失くして鬱状態になった『私』。 医師の勧めに従い、近所の大きな公園を散歩することに。 でもそこでフルートの音を聞き、中学生時代の苦い記憶を思い出す。 //

この世のありとあらゆる知識や術を習い覚え、『賢者』と呼ぶしかない高みに達したとある男。 この至上の知を、謙虚を知る若人へ教え伝えようと彼は決意する。 しかし、誰も彼に至上の知を教わりに来なかった。 //

私は急いでいる。 でもわかっている。 これは、どんなに頑張っても絶対遅刻するし目的の場所へたどり着かない、私がよく見る悪夢の中だと。 では『行く』のを止めればどうなるのだろうか？ 家紋 武範様主催『//

寂れた最寄り駅の駅前で、主人公である『私』はひとりのストリートミュージシャンと出会う。 巧みとは言い切れない彼のパフォーマンスだったが、『私』は何故かそれに心惹かれた。 表現するとはどういうことかと//

カオルの家には、古くて立派な三面鏡がある。 これは一族の女の子が受け継いで大切に守ってゆく『家宝』だと、小さい頃からお母さんに聞かされてカオルは育った。 だけどこの三面鏡、少し薄気味悪い鏡でもあった。//

なろうラジオ大賞参加作品。 とある老女の、冬の朝のひとり思い。

茶色いもこもこの生き物（渡り鳥）から聞かされた『あたたかいところ』という素敵な場所。 みみずくんは『あたたかいところ』を、全身全霊で憧れました。 あたたかいところを目指し、小さなからだでみみずくんは今//

とある春の日、幼い息子を連れて公園へ向かう私の前に、奇妙な扉が忽然と現れる。 その『扉』を見た瞬間、私は、呪いにも似た自分の役割を思い出す。

明け方、おかしな夢を見た。 そう、誰にでもあることだ。

第5回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞参加作品。 若い日に出会った、コスモスのように可憐な娘さんに恋をした『私』。 執着でしかないのかもしれないが、忘れられない恋に一生を縛られた男の話//

若い頃からちょいちょい見る夢。 私はどこへ『帰りたい』のだろうか？

死を思い詰めた主人公の前に現れた不思議な青年。 彼が差し出した真っ白の紙で紙飛行機を折り、飛ばすと何故か死にたい思いが消えてしまった。 再び切羽詰まった主人公の前に、いつかの紙が忽然と現れたのだが…//