氷雪記

　ある日、大寒気を呼ぶ災いの霜『白き闇』がもうすぐ降りるとの予言があった。人々が動揺する中、北国から雪姫の母親を訪ねて使いがやってくる。
　使いによると、『白き闇』を唯一防ぐことのできる力を持つ『氷姫』の行方が分からなくなっているため、薄いながらも同じ血を引いている雪姫の母親に同じ力があるのではないかと、望みを懸けて訪ねてきたのだという。
　しかし、同じ血を引くと言えど、母親にも娘である雪姫にも、氷姫のような力などあるはずもない。やはり白き闇を防げるのは氷姫だけ…そう思っていた雪姫の頭に、ふと一年前のことが浮かんだ。
　そのことから、雪姫はついに自分が氷姫を捜し出そうとを決意する。
　ちょうどそこに居合せていた旅芸人の二人組──実は隣国の皇女である幼夢（ようむ）と、彼女の付人である佳月（かげつ）を仲間に加えて、雪姫の氷姫捜しの旅が始まったのであった。

　氷姫を探す雪姫の物語。青春付き異世界和風ファンタジー。