終わりを紡ぐ契約者

　自分のすべてを捧げても叶えたいと強く想う願い、それは誰の心にもある夢。
　溢れんばかりの富、祭り上げられるほどの名声、誰もが知り得ぬ知識。
　しかし死力を賭して望んでも叶わぬ願いを叶える力があるとすれば？
　人はそれが触れてはならない終わりの始まりだと知っていても、触れてしまうものだ。
　行き過ぎた願いの結晶、人の域を越えた力は人を狂わせ、人を堕としていく。

　――あなたの願いはなに？　私が叶えてあげる――

　人が知り、触れてはならない領域の存在、六つの世界に存在する六つの種族。
　人の願いを源に、それを喰らって生きる六種族。
　人は禁断の果実を手にすると、人と言う資格を売ると同時に契約するのだ。
　叶うならば大いに苦しんでやろう、それが代償と言うならば甘んじて受け入れる。
　人なんてものは所詮、目の前にある果実を食べずにいられないのだ。