現代魔術は隠されている

　こんな話を知ってるだろうか。
　恐らく、オカルト分野では時折聞くような話題かもしれない。伝承で伝えられるような霊や怪物、そして魔術。それらが本当は実在しているという話。
　その答を先に言えばそれは一部だけ本当だ。

　魔術は実在する。

　霊や怪物などは言ってしまえば魔術的な作用によりその存在を実にしている側面がある。
　現代社会では誰かの流布した眉唾じみたでっち上げの話と思われるような事柄ではあるが、それは表向きこちら側の世界の人間ではない人間達が一般常識として認識しているものだ。
　彼らがそう認識するようになっているのは、魔術協会という魔術師達により結成され、世界中に根を張るようになった秘密結社が流布しているカバーストーリーによる物なのだ。
　魔術が実在するという真実を知っているのは、魔術を操る者達だけ。
　そういった理念の下に魔術協会は魔術という超自然的な奇跡を起こす方法をありとあらゆる手段で隠匿し、世界から魔術の存在をひた隠し続けている──

　主人公・大神香月は表向きは犯罪以外なら依頼されれば何でもやる便利屋、そしてその実態は魔術協会奇跡管理部という魔術の存在を世界からひた隠しにする結社の|構成員《エージェント》だ。
　魔術師である彼らに与えられた任務は、魔術協会に所属しないはぐれ魔術師・魔術使いによる魔術の存在の露呈・犯罪行為を裁く事。
　
　これは現代の魔術師達が、魔術を秘匿する事を目的に行う戦いの記録である。