女騎士団長と平民文官

騎士とは、剣で戦場を駆ける者。
文官とは、書類で戦局を制す者。

鉄壁の“女騎士団長”エリーザは、不機嫌だった。
すべては、笑顔で「やっておきました」と言うだけの平民文官――ノエルのせい。

戦果を挙げれば「団長の手腕のおかげですね」、
予算を勝ち取れば「ちょっと根回ししておきました」。

……なぜだ。不愉快だ。
嫌味のひとつも言わずに、こちらの株を上げていく男に、
エリーザの“誇り”も“感情”も、ぐらりと揺さぶられていく。

そしてある日、堪忍袋の緒が切れた。
騎士団侮辱罪の名目でノエルを執務室に呼び出すが、
逆に国政級の改正案が通ったという報告を、
“ひざまずきながら”届けられる羽目に……！？

これは、
――鉄壁と笑顔の攻防。
――誇りと敬意が交差する政務室の恋。
――そして、とある「撤退戦」で出会ったふたりの、
　　遅すぎて、でも間違いなく始まっていた物語。

騎士団長は剣で語り、
文官は言葉で仕掛ける。

「これは恋ではない」
「……これは公私混同ではないっ！」

恋と政務が交錯する王城ラブロマンス、開幕。