恋、三年分

暑ちぃ。‥‥駄目だ。宿題なんてやる気がしねぇ。 「夏休み最後の日」 俺のやり残してたものって、なんだっけか？

ったく、なに馬鹿なこと考えてんだか‥‥。そんなことより勉強しよ。16の秋、俺はHR委員に大事なことを教わったーー

木の葉が紅く色づく季節ーー わかってる。あんたの眼中に私が入ってないことなんて‥‥。そんなのとっくにわかってる。 真面目で愛想の悪いHR委員に、鮮やかでほんのり紅い想い出を//

ある寒い日、帰り道には中学の同級生が…。いつも綺麗に伸ばされている背筋。彼女の瞳には、一体なにが映っているんだろうーー

届くだろうか……あの空に、彼の背中に。私の指は、届くだろうかーーー。高校一年生、冬。星空の下、ずっと遠いと眺めるだけだった彼は、いま目の前にいる。頭には、あの日みた景色。高まる体温。早まる鼓動。伸ばさ//

黄色く色付けられた今日という日を、まぶたの裏に刻んで、追い風へと変えていく。これは、夏休みの始め。向日葵畑で出会った、先輩と俺のアルバムみたいな話し。