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ひらめきで勝つ天才と、時間で指す棋士―同門公式戦を境に成長した日向と、静かにタイトルだけを見続けた恒一

あらすじ
棋士・相川恒一は、勝敗に興味がない。
彼が大切にしているのは、「その一手が、自分の中に残るかどうか」だけだった。

対局中にひらめくことはほとんどない。
むしろ彼は、負けた将棋を一晩寝かせ、翌朝になってから最適解を思い出す。
そうして生まれた一手を、すぐには使わない。胸の奥にしまい込み、必要な時が来るまで静かに待ち続ける。

最年少記録や天才がもてはやされる将棋界で、恒一はあまりに地味な存在だった。
勝っても評価されず、「読める棋士」「面白みのない将棋」と切り捨てられる。
だが佐伯師匠だけは知っている。
恒一の将棋は、研究しても捕まらない。時間そのものを味方につける、異質な将棋だということを。

やがて恒一は、直感だけで勝ち上がる若き天才・日向と対峙する。
同じ盤を前にしながら、2人の将棋はまったく違う方向を向いていた。

日向は、恒一と対照的な存在だった。
その場のひらめきで勝ちをもぎ取る天才。
未来より「今」を選び続ける棋士。

研究しても対策しても、恒一の将棋は少しずつ形を変える。
新手を指しているわけではない。
過去に負け、寝かせ、忘れかけた一手を、ただ静かに差し込んでいるだけだった。

恒一の目標は、目の前の勝利ではない。
一局一局を通して、自分の将棋を深くすること。
その先にある、ただ一つの目標タイトルを一つ取ること。

そして同門公式戦。
かつて敗北の中で生まれ、長く眠り続けていた一手が、ついに盤上に現れる。

この対局を境に、恒一と日向はそれぞれ違う道を選ぶ。
勝利を追い続ける者と、思考を積み重ねる者。
将棋に何を求めるのか、その答えは同じではなかった。

勝利は結果にすぎない。
将棋は、思考を寝かせ、時間とともに育てるものなのだと

静かに、しかし確かに示す物語。
Nコード
N9639LR
作者名
夜明けの語り手
キーワード
第2回ルフナ大賞 OVL大賞11 ネトコン14 アイリスIF8大賞 ESN大賞10 男主人公 和風 現代 職業もの 将棋 棋士 蒐集家 タイトル 文芸部門
ジャンル
純文学〔文芸〕
掲載日
2026年 01月27日 10時08分
最新掲載日
2026年 02月08日 20時58分
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