ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

君に触れ、色満ちる

あらすじ
今作はLINEノベル様(https://novel.line.me/reader/novel/9297)にも掲載しております。

「あなたは見たいもの、ありますか?」

 天宮町という小さな町で暮らす少年は学校に行くことに何の理由も見つけられていなかった。夢も、将来のこともそんなことはどうでもよかった。この町のこともさして好きでもなかった。それは彼の中の呪縛がそうさせていたから。だから少年は反抗にもならないサボるという行為でデパートの屋上に学校のチャイムを聞きながら寝そべって無駄な時間を過ごす。
 トントンとリズムよく刻む音が近づいてくる。黒く長い髪をなびかせた少女とともに。少年と少女の邂逅。
 その少女は夜空を探していると言った。大切な空を。その空は色に満ちていて、少女は憧れた。でも叶わない夢。彼女は目が見えないのだから。
 彼女は少年と同じ学校で少年と同じ時を過ごしていく。それはごくごく当たり前な光景。彼女は目が見えない、それだけの違いだった。
 少年は約束をした。少女に夜空を見せると。星々が煌めく夜空を。
 少年は初めて何かを成し遂げたいと思った。それは些細な子供の夢。
 些細な夢を少女の為に叶えるために。それは成し得られないことなのかもしれない。けれど少年は少女に誓う。少女には笑顔が似合うから、悲しそうな顔などより笑った顔をしていてほしいから。
 少女の深い群青の瞳は何もかも見透かすような気がした。その瞳に少年は恐怖する。だけど少女に誓う。その瞳に星空を見せると。その恐怖は少年自身の弱さから来た怯えだ。だけど言うよ。君と一緒にこの世界を見たいから。それを聞くと少女は笑った。満面の笑みで笑った。まるで今まで悩んでいたことを吹き飛ばすような笑いで。少女も少年に伝える。君の見ている世界を見たいと。
 これは当たり前を見る物語。人が色を探していく物語。黒く澱んだ色、白く輝いている色。それは対照的であって似ている。人はそのどちらにでも染まれる。少年少女たちが自分たちの色を必死にもがいて探していく。時には深い深い暗い海の底の暗闇に飲まれてしまうかもしれない。時には自分の色を忘れてしまうかもしれない。
 これは少年少女たちが織り成す色の話。澱んだ海の底から希望の空へと羽ばたく話。それが自分たちの色を探求するということなのだから。

Nコード
N8879GH
作者名
玉時雨
キーワード
悲恋 日常 青春 ミステリー ヒーロー ラブコメ シリアス 男主人公 学園 現代
ジャンル
現実世界〔恋愛〕
掲載日
2020年 06月18日 16時50分
最終掲載日
2020年 06月23日 20時52分
感想
0件
レビュー
0件
ブックマーク登録
1件
総合評価
12pt
評価ポイント
10pt
感想受付
受け付ける
※ログイン必須
レビュー受付
受け付ける
※ログイン必須
誤字報告受付
受け付ける
※ログイン必須
開示設定
開示中
文字数
104,266文字
作品を読む
スマートフォンで読みたい方はQRコードから

同一作者の作品

N9468GJ| 作品情報| 完結済(全35エピソード) | 異世界〔恋愛〕
 砂が舞う。  滅びゆく世界。  その間幕劇。  それは一瞬の出来事。  ひと時の幸せ。  目の前に広がるのは荒れ果てたビル群、何かを研究してただろう正方形の建物、作り出す工場。  どれもこれも朽ち果てて建物というには余//
N6883GI| 作品情報| 完結済(全53エピソード) | ローファンタジー〔ファンタジー〕
LINEノベル様(https://novel.line.me/reader/novel/12627)にて投稿した作品になります。 冬の風が吹く。木を枯らす風。 雪原町に住む晏御霧彦はうなだれていた。うるさい幼馴染が日常//
N8879GH| 作品情報| 完結済(全6エピソード) | 現実世界〔恋愛〕
今作はLINEノベル様(https://novel.line.me/reader/novel/9297)にも掲載しております。 「あなたは見たいもの、ありますか?」  天宮町という小さな町で暮らす少年は学校に行くこと//
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ