- あらすじ
- 父の遺した短い手紙に導かれ、相沢湊は瀬戸内の小さな港町へ降り立つ。JR西日本の列車に揺られ、島影のあわいを縫うように進む旅路の果てにあったのは、きらめく海と、静けさの奥に古い時間をたたえた町だった。潮の匂いのする駅、坂の途中の宿、船を待つ人々の背中。何もかもが穏やかでありながら、その穏やかさは、失われたものを包み隠す薄い膜のようでもあった。
宿を営む三崎汐里との出会いをきっかけに、湊は父がかつてこの地を繰り返し訪れ、時刻表から消えた「潮待ち浜」という名の駅を追っていたことを知る。海と鉄道に導かれながら、彼は父の沈黙の理由と、この土地に積もった記憶の層へと足を踏み入れていく。せとうちの美しさは、ただ明るく開かれているのではない。光がやわらかく満ちるほど、その底には言葉にならなかった別れや、帰ることのできなかった時間が静かに沈んでいる。
これは、旅の物語であると同時に、喪失の手ざわりをたどりなおす物語でもある。海へひらく線路の先で湊が見つけるのは、父の残した過去か、それとも自分自身の空白なのか。瀬戸内の風景に抱かれながら、彼の中で止まっていた時間が、ゆっくりと動き始める。 - Nコード
- N8647LY
- 作者名
- たむ
- キーワード
- ネトコン14 ESN大賞10 JR西じゆうに大賞1 現代
- ジャンル
- 純文学〔文芸〕
- 掲載日
- 2026年 03月26日 15時00分
- 最新掲載日
- 2026年 03月29日 15時00分
- 感想
- 0件
- レビュー
- 0件
- ブックマーク登録
- 0件
- 総合評価
- 0pt
- 評価ポイント
- 0pt
- 感想受付
- 受け付ける
- レビュー受付
- 受け付ける
※ログイン必須 - 誤字報告受付
- 受け付ける
※ログイン必須 - 開示設定
- 開示中
- 文字数
- 58,042文字
設定
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
潮待ちのレール
作品を読む
スマートフォンで読みたい方はQRコードから
同一作者の作品
N5999KQ|
作品情報|
連載(全217エピソード)
|
ホラー〔文芸〕
――人の闇に、妖(あやかし)は映る。だが、影を作るのは、いつも人間だ。
現代日本。
都市の片隅でひっそりと探偵業を営む男――城戸蓮司(きどれんじ)・35歳。
過去のある事件をきっかけに、“人には見えぬもの”にも目を向け//
N8647LY|
作品情報|
連載(全8エピソード)
|
純文学〔文芸〕
父の遺した短い手紙に導かれ、相沢湊は瀬戸内の小さな港町へ降り立つ。JR西日本の列車に揺られ、島影のあわいを縫うように進む旅路の果てにあったのは、きらめく海と、静けさの奥に古い時間をたたえた町だった。潮の匂いのする駅、坂の//
N1452KY|
作品情報|
連載(全154エピソード)
|
宇宙〔SF〕
英雄キャプテン・アストラと、個性豊かなクルーたちは、再び未知の宇宙へと船を進める。航海の目的は、銀河の果てに眠る謎の文明を探し、宇宙に潜む危険を未然に防ぐこと。しかし、彼らの冒険はいつも予想外のトラブルと笑いに満ちていた//
N6430KV|
作品情報|
連載(全238エピソード)
|
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
ピザ屋でバイトしていた青年・相川レンは、ある日、店の業務用オーブンに頭を突っ込んだ瞬間――異世界へ転移してしまった!
魔法とモンスターが当たり前のこの世界に、「ピザ」という料理は存在しなかった。
だが、食った者を虜にす//
N2874LE|
作品情報|
連載(全141エピソード)
|
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
この世界では、人々の感情そのものが価値を持つ通貨として社会に流通していた。
喜びや怒り、哀しみや楽しさ――それぞれが経済や文化の一部となり、人々の生活は感情によって回っている。
主人公は、現代から異世界に突然召喚された//
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。