- あらすじ
- 俺は“戦死を知らせる兵士”として村々を回っていた。
嫌々始めた役目だったが、誰かが伝えなければ家族は永遠に待ち続ける――
その重さを知ってから、俺は感情を押し殺し、黙々と扉を叩き続けた。
だが、家庭は少しずつ壊れていった。
十六になった息子は「親父みたいな生き方はしたくない」と言い残し、家を出た。
俺は止められず、探しもせず、ただ役目に逃げるように日々を過ごした。
四年後。
軍務局から届いた一通の封筒。
宛名は――妻。
震える手で開いた紙には、
息子の名と“戦死”の二文字。
息子がどこで何をしていたのか、
何を思っていたのか、
俺は何も知らなかった。
知ろうとしなかった。
そして今度は、
俺が妻に“息子の死”を伝える番だった。
何百回も他人に向けて言ってきた言葉を、
初めて自分の家族に向けて口にする。
「……苦しまなかった。一瞬だったよ」
妻が崩れ落ちる姿を見ながら、
俺は問い続ける。
――俺は、本当に正しかったのか。
役目に逃げ続けた俺は、父親だったのか。
残されたのは、
息子のいない家と、
伝える者として生きてきた男の深い後悔だけだった。 - Nコード
- N8318MA
- 作者名
- アポロ
- キーワード
- 戦争 戦死通知 兵士 家族 父と息子 後悔 切ない シリアス 重い話 短編
- ジャンル
- ハイファンタジー〔ファンタジー〕
- 掲載日
- 2026年 04月11日 00時20分
- 感想
- 0件
- レビュー
- 0件
- ブックマーク登録
- 0件
- 総合評価
- 10pt
- 評価ポイント
- 10pt
- 感想受付
- 受け付ける
- レビュー受付
- 受け付ける
※ログイン必須 - 誤字報告受付
- 受け付ける
※ログイン必須 - 開示設定
- 開示中
- 文字数
- 5,319文字
設定
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦死通知を届ける兵士の俺に、最も残酷な通知が届いた
作品を読む
スマートフォンで読みたい方はQRコードから
同一作者の作品
N0925MB|
作品情報|
短編|
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
魔王軍との五年に及ぶ戦いで、勇者アレンは一度も勝てなかった。
人間の中では最強――それでも魔王には届かず、前線はついに王国の門前まで後退する。
明日、魔王軍が王国へ侵攻する。
アレンは妻エリナと五歳の息子レアンに、自分//
N8450MA|
作品情報|
連載(全3エピソード)
|
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
白魔導士サミエルは、
敵である魔族すら治す“優しすぎる人間”だった。
彼の魔法に救われた魔族の少女ヒルダは、
いつか彼の隣で同じように誰かを治したいと願っていた。
しかし――
サミエルは、人間たちに“裏切り者”として//
N3165LY|
作品情報|
連載(全25エピソード)
|
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
かつて“魂の勇者”と呼ばれた男レイセルは、先代魔王との戦いに敗れ、命を落とした。
――はずだった。
百年後。
彼はなぜか、現魔王によってアンデッドとして蘇らされる。
しかもその理由は――
「魂のまま漂われても邪魔だ//
N8318MA|
作品情報|
短編|
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
俺は“戦死を知らせる兵士”として村々を回っていた。
嫌々始めた役目だったが、誰かが伝えなければ家族は永遠に待ち続ける――
その重さを知ってから、俺は感情を押し殺し、黙々と扉を叩き続けた。
だが、家庭は少しずつ壊れていっ//
N7396MA|
作品情報|
短編|
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
明日、近衛兵ユリウスとエナは退団する。
長い戦いの日々を終え、二人で小さな式を挙げ、
ようやく“普通の未来”を歩き出すはずだった。
王都の夜は優しく、仲間たちとの宴は温かく、
未来は確かにそこにあった。
――警鐘が鳴//
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。