- あらすじ
- 香川県・多度津町。
四国鉄道発祥の町で、多度津駅に勤める駅員・橋倉雅治は、春になるたび祖父のことを思い出す。
祖父・勇もまた、かつてこの町で人々を送り出す仕事に就いていた。だがその胸には、生涯忘れることのない、ひとつの別れが残されている。
時は大正十四年。
勇と小春は、幼い頃からいつも共に過ごしてきた。
鉄道に夢を抱く勇と、商家の娘として育つ小春。二人にとって、隣にいることは当たり前だった。
しかし、この年、二十歳を迎える小春が変わりはじめる。
何を問うても本心を語らず、ただ曖昧に微笑むばかり。
「勇さん……私、遠くへ行くことになったの」
やがて春の日、小春は突然、町を離れることを告げる。
勇が「いつ?」と問えば「明日」と答えた。
「見送りは……いいから」
小春はそう言うと僅かに視線をそらした。
翌日――勇は駅員としての最初の仕事に就き、ホームに立つ。
押し寄せる人波の中、必死に小春の姿を探すが見つからない。
発車間際、ようやく視界の端に彼女の姿をとらえる。
窓を隔て、互いに気付く二人。
言葉を交わそうとしたその瞬間、汽笛がすべてを掻き消した。
動き出す汽車の窓に残されたのは、伝えられなかった想いと、散りゆく桜だけだった。 - Nコード
- N8084LY
- 作者名
- 陰東 紅祢
- キーワード
- JR西じゆうに大賞1 シリアス 男主人公 和風 明治/大正 青春 身分差 史実 汽車 大正ロマン 御当地 香川県 淡い恋 幼なじみ
- ジャンル
- ヒューマンドラマ〔文芸〕
- 掲載日
- 2026年 03月30日 22時48分
- 最新掲載日
- 2026年 04月08日 00時31分
- 感想
- 2件
- レビュー
- 0件
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- 総合評価
- 24pt
- 評価ポイント
- 20pt
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- 文字数
- 18,890文字
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春の残香 〜汽車の窓に、なごりの桜〜
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