- あらすじ
- 十二月二十五日。竜胆竹生(十八歳)は近所の「川住書道教室」に今日も向かった。そこに着くと山田花梨(十四歳)や戸橋林檎(十四歳)、川住水仙(五十二歳)といった面子が揃っていた。花梨の書は無意識的、感情的、人間的で、一方の林檎の書は意識的、理性的、機械的だった。彼女達は竹生への好意を「竜胆竹生」と書いて表現する。二人は書の良し悪しを競うではないが、竹生をどれほど好いているかの勝負ではある、勝負ではない勝負というのを行った。その頃、水仙が見た目は美しいクリスマスケーキを持ってくる。結局彼自身がそれを食べ、食べた彼は卒倒する。花梨と林檎は竹生の書を鑑賞する。それは完璧で非の打ち所がなかった。だから二人は竹生に、書家になる夢は必ず叶うと言う。三人は本日の書を終了させて帰宅する。家に帰ってからも竹生は自身の夢の実現のために精進し続けた。十二月二十六日。竹生は川住宅で川住藍(二十二歳)と久しぶりに会う。藍は竹生の書を酷評し、竹生に「書家にはなれないのかもしれない」と言う。そう言われた竹生はすぐに自宅に戻る。彼は父母からもらった字典のことを思い出す。そしてそれを用いての書道を自室で行う。竹生は書の最中にその字典にまつわる記憶を呼び起こす。昔の自分のことや父母と交わした会話のことを思った彼は、自分は父母のために書家にならなければならないことを改めて胸に刻む。一月一日。果たし状のような年賀状によって川住宅に招かれた竹生は藍と二人で書き初めをする。それで竹生は藍に父母のための書道を示す。しかしそれが完全に表現された時、彼の目からはぽろぽろと涙がこぼれる。それは彼が父母がもういないことをようやく理解出来たから流れた。藍はそんな竹生を抱き締めつつ彼に夢を諦めて欲しいと言う。しかしそう言われた竹生はなおも書家になることを諦めない。竹生は日常へと戻っていく。
- Nコード
- N7878FS
- 作者名
- 紙屑
- キーワード
- 日常 青春 落選 長編小説
- ジャンル
- ヒューマンドラマ〔文芸〕
- 掲載日
- 2019年 09月05日 10時25分
- 最終掲載日
- 2019年 09月07日 12時07分
- 感想
- 0件
- レビュー
- 0件
- ブックマーク登録
- 0件
- 総合評価
- 7pt
- 評価ポイント
- 7pt
- 感想受付
- 受け付ける
※ログイン必須 - レビュー受付
- 受け付ける
※ログイン必須 - 誤字報告受付
- 受け付ける
※ログイン必須 - 開示設定
- 開示中
- 文字数
- 145,449文字
設定
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花々の書
作品を読む
スマートフォンで読みたい方はQRコードから

同一作者の作品
N7878FS|
作品情報|
完結済(全15エピソード)
|
ヒューマンドラマ〔文芸〕
十二月二十五日。竜胆竹生(十八歳)は近所の「川住書道教室」に今日も向かった。そこに着くと山田花梨(十四歳)や戸橋林檎(十四歳)、川住水仙(五十二歳)といった面子が揃っていた。花梨の書は無意識的、感情的、人間的で、一方の林//
N8819FS|
作品情報|
短編|
ヒューマンドラマ〔文芸〕
佐藤明良は野球部を辞めて帰宅部になった(「あらすじ」を書けるほどのストーリー性を本作にはほぼ用いていません。鬱屈した日々を求める方はぜひ。なお諸事情により本作は『未完』とします)。
N9669FF|
作品情報|
短編|
純文学〔文芸〕
深夜のコンビニで顔を合わせるドライバーとの間に起こった出来事。
N2955EA|
作品情報|
短編|
純文学〔文芸〕
ある子は「あなた」に熱狂出来たのに。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。