- あらすじ
- 時代の荒波を諸に受けた廃校、予期しなくもなかったが風前の灯となった現実を目の当たりにすると感傷的にもなる。開校された頃に思いを馳せれば、今こそ男女同権は当たり前だが女子教育不要論が罷り通る明治初期、非難ごうごう吹き荒んだであろうことが想像される中、この女学校の前身である女児学校は創設されたのである。新しい事業を興すと言うだけで超凡なエネルギーを必要とするのに、その意気込みには敬服するしかない。今年二〇一九年はその立役者となった毛利勅子(ときこ)夫人の生誕二百年、それを記念する行事が静かに執り行われている。その彼女の功績が廃校と共に埋もれてしまうのはあまりに悲しい。廃校の原因の一つともなった人口三万に満たない片田舎で、東京、京都に次いで三番目に開校ということは後に続く近隣の村落にも多大な影響と勇気を与えたに違いない、その功績は大きい。それは快挙であり我が郷土の誇りである。それらが忘れ去られていくのは惜しい、建物が現存する今のうちに、せめて我が郷土にはこんな奇特な人がいたということを顕彰し語り継いでいきたい。半ば神格化されてはいるが、偉業を成し遂げた功労者である前に普通の人であったことを前面に事実に即したものをと心掛けた。しかし過ぎた歳月はたかだか百五十年というのに、彼女を物語るには残されている資料があまりに少ない。僅かに残る彼女の属した領内の膨大な代官所日誌に登場する名前と動静、その足跡を丁寧に拾い同窓会誌に記された回想録や毛利勅子伝の逸話で繋ぎ合わせ、人の喜怒哀楽の感情が総じて共通することを頼りに事実を優先し物語の作成に取り掛かった。激動した幕末、その渦中にあった長州の民もまた時代に翻弄されたことは否めず、そのことが少なからず影響したに違いないことを踏まえ、一人の女性の偉業達成までの軌跡を物語にしたものである。
- Nコード
- N7861FT
- 作者名
- 木楽名優芽
- キーワード
- 史実 プロローグ 生い立ち 幼少の頃 若き日々 結婚 彼女の生きた時代 夫 兄 基軸形成 兼重慎一との出会い 学校創設
- ジャンル
- 歴史〔文芸〕
- 掲載日
- 2019年 09月25日 10時00分
- 最新掲載日
- 2019年 09月25日 10時00分
- 感想
- 0件
- レビュー
- 0件
- ブックマーク登録
- 0件
- 総合評価
- 0pt
- 評価ポイント
- 0pt
- 感想受付
- 受け付ける
※ログイン必須 - レビュー受付
- 受け付ける
※ログイン必須 - 誤字報告受付
- 受け付ける
※ログイン必須 - 開示設定
- 開示中
- 文字数
- 5,021文字
設定
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
毛利勅子の生涯(第一話)
作品を読む
スマートフォンで読みたい方はQRコードから

同一作者の作品
N1068FV|
作品情報|
連載(全1エピソード)
|
歴史〔文芸〕
いよいよ女児学校創設の運びとなり、学校運営は思いの外順調に進む。
N8087FU|
作品情報|
連載(全1エピソード)
|
歴史〔文芸〕
激動する日本、その中枢にいては静謐な城内と雖もその渦の中に巻き込まれざるを得ない。これまで何不自由なく暮らしてきた勅子だったがそういう段階を経るごとに少しずつ自身の生きる意義についての方向性が見えてくる。
N6547FU|
作品情報|
連載(全1エピソード)
|
歴史〔文芸〕
時代は刻々動いているが、勅子の住む城の中の生活は貧窮にあえぐ庶民とは依然別世界のものが繰り広げられていた。
N5337FU|
作品情報|
連載(全1エピソード)
|
歴史〔文芸〕
世相は確実に現状からの脱皮を試みて動いている。だが勅子の生活にこれといった動きはない、至って静かである。しかし決して心は穏やかではない。誰もがそれぞれに葛藤を抱えて苦しんでいた。
N2426FU|
作品情報|
連載(全1エピソード)
|
歴史〔文芸〕
勅子の新婚生活と時代背景
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。