- あらすじ
- 二つの仮面が砕ける音が、やがて救いになる。
会社で評価されるたび、直は“ふつう”の枠に押しこまれていく。視線は二秒まで、語尾は〇・三秒伸ばす――生存のための〈演技マニュアル〉は、守ってくれる代わりに檻にもなる。支援センターの交流会で出会った優成は言う。「自然なんて、やめました」。
二人は“ふり”の反転同士。善意が偏見を洗って並べ直す現実、記事化される「がんばる当事者像」、拍手の音に混ざる小さな窒息。直は講演で宣言する――「私は“障がい者のふり”をしてきました」。沈黙ののちに生まれたのは、恐怖と、微かな自由。
演技の終わりは、生活の始まり。直と優成は「怖いまま、生きる練習」を選び、春の匂いの中で、仮面のない呼吸を取り戻していく。
◆登場人物
安西 直(なお):20代前半。社会適応のため「おどおど」を演じてきた当事者。精密な自己観察ノートを持つ。
鈴木 優成:20代後半。診断名を得て“健常のふり”をやめた当事者。硬質な言葉で静かに支える。
古川 理紗:総務。善意に満ち、無自覚な枠を強化してしまう役割。直の「檻」の象徴でもある。 - Nコード
- N7601LI
- 作者名
- 妙原奇天
- キーワード
- ESN大賞9 ドリコム大賞4 123大賞7 現代ドラマ ヒューマン 発達障害 ジェンダー 青春 恋ではない親密さ すれ違い シリアス
- ジャンル
- 純文学〔文芸〕
- 掲載日
- 2025年 11月11日 08時07分
- 最終掲載日
- 2025年 11月11日 08時37分
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“ふつう”をやめた私と、“自然”をやめた彼。
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