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日本すごい! すごいすごいすごい!

短編
あらすじ
 とある中学校。その少年は始業チャイムが鳴る少し前。教室の後ろのドアの前で立ち止まり、深呼吸した。そしてドアを開けると

「お、宮田ぁ! 日本中学生、エベレスト登頂初の成功者おめでとおおおぉぉぉう!」

 と、第一声を上げた教師の後ろの黒板には飾りと、その旨の言葉が書かれていた。

「おめでとーう!」
「すごいよ宮田くん!」
「おめでとなぁ!」

「いやー、みんな、どうもどうも」

 称賛と祝辞の嵐の中、肩を背中を叩かれ、へらへらしながら自分の席に向かう宮田少年。
 鞄を下ろすとふぅと一息ついた。集まる視線にぶるっと身を震わせ、恍惚な表情。

「いやー、ほんと宮田はすごいなぁ」

「ふふっ、ありがとうございます、先生、いや、ビッグティーチャー」

「おいおい、アメリカかぶれかよ宮田」
「やっぱ、エベレスト登ると違うよなぁ」
「いや、エベレストはネパールあたりでしょ」
「とにかくすごい! 宮田はすごい!」

 まるで英雄の帰還に沸く教室。と、ここで「でもぉ……」と教師は腕を組んだ。
 宮田少年は胸を張り言った。
Nコード
N7377IP
作者名
雉白書屋
キーワード
ショートショート
ジャンル
ヒューマンドラマ〔文芸〕
掲載日
2024年 02月07日 11時00分
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