- あらすじ
- 「――でしょ!」
――ん?
「ちゃんと証拠撮ってるから! 逃げんな! 盗撮魔!」
昼下がりの近所のショッピングモール。買い物を済ませ、エスカレーター脇のベンチに腰を下ろして一息ついていた、そのときだった。突然、天井に突き刺さるような女の怒声が吹き抜けの空間に反響し、おれは反射的に声のほうへ顔を向けた。
そこにいたのは、中年の女だった。くすんだ色の上着に色褪せたスカートを合わせ、薄汚れた白い帽子を目深にかぶっている。手入れされていなさそうな黒髪を後ろで一つに束ね、腕を突き出すようにスマホを構え、若い主婦風の女に詰め寄っていた。
主婦風の女は通話中らしく、スマホを耳に当てたまま顔を強張らせ、視線を泳がせながら小走りでその場を離れていった。
取り残された地味な女は、その背中を睨みつけたまま立ち尽くし、怒りで肩を小刻みに震わせている。
盗撮――可能性がゼロとは言い切れないが、逃げていった女はごく普通で、むしろ穏やかそうに見えた。十中八九、あの女の勘違い……いや、妄想だろう。精神を病んでいる類の人間だ。こういうのは関わらないに越したことはない。
おれはそう結論づけ、視線を落として小さく息を吐いた。
「あなたもでしょ」
「えっ」
- Nコード
- N7202LW
- 作者名
- 雉白書屋
- キーワード
- キーワードが設定されていません
- ジャンル
- ヒューマンドラマ〔文芸〕
- 掲載日
- 2026年 03月12日 11時00分
- 感想
- 0件
- レビュー
- 0件
- ブックマーク登録
- 0件
- 総合評価
- 0pt
- 評価ポイント
- 0pt
- 感想受付
- 受け付ける
- レビュー受付
- 受け付ける
※ログイン必須 - 誤字報告受付
- 受け付ける
※ログイン必須 - 開示設定
- 開示中
- 文字数
- 2,973文字
設定
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
集団ストーカー :約3000文字
作品を読む
スマートフォンで読みたい方はQRコードから
同一作者の作品
N2441LX|
作品情報|
短編|
ヒューマンドラマ〔文芸〕
まず、ティーカップとソーサーを清潔な状態で用意いたします。白い布巾を用い、縁や底、持ち手の内側に至るまで丁寧に拭き上げていきます。指紋や水滴などが残らないように、光にかざし、角度を変えながら入念に確認することが大切です//
N2436LX|
作品情報|
短編|
ホラー〔文芸〕
昼下がりの道を、一人の男が歩いていた。
足取りはどこか頼りなく、額には玉のような汗が滲んでいる。苦虫を噛み潰したような表情で、落ち着きなく目をきょろきょろと動かしては、何度目かわからないため息をついた。
中学時代の//
N2434LX|
作品情報|
短編|
ヒューマンドラマ〔文芸〕
「……ん……え?」
目を覚ましたおれは、ぎょっとし、喉の奥からかすれた声を漏らした。いや、まず自分が眠っていたこと自体にも驚きだったが、それ以上に、目に映る光景がまったく見覚えのないものだったのだ。
床も壁も天井も//
N2412LX|
作品情報|
短編|
ヒューマンドラマ〔文芸〕
「おいおい、どしたどした~? お前はもっと破天荒なやつだったろ。あんま穿った見方すんなって。檄を飛ばしてやればいいんだよ、檄を。そりゃあ、おれだって姑息なやつは嫌いだけど、自分の部下なんだろ? おいおい、まさか役不足とか//
N7210LW|
作品情報|
短編|
ヒューマンドラマ〔文芸〕
夜、とあるマンションの一室。男はふいに目を覚ました。
首をカクンと下ろし、ぼんやりと正面を見つめながらゆっくりと瞬きをする。滲んだ視界の中で、チカチカと不規則な光が明滅している――テレビがついたままだ。どうやらソフ//
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。