ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

無音のコード

短編
あらすじ
幼なじみの麗、律、奏、響の4人は、インディーズバンド「Twinkle Note」としてメジャーデビューを目前に控えていた。ボーカルの麗とギターの律は天賦の才能を持ち、奏と響は彼らを深く尊敬しながらも、秘めたる才能とコンプレックスを抱えつつ活動していた。

しかし、オーディション最終審査に向かう途中、麗と律が事故で他界。残された奏と響は、絶望の淵に突き落とされる。だが、麗と律の言葉に背中を押され、二人の夢を継ぐことを決意。ボーカルを奏、ギターを響が担当し、麗と律になりきって最終審査に臨む「成りすまし」を提案する。当初は反発したドラムの健太とベースの涼子も、最終的には二人の決意を受け入れる。

麗と律を完璧に模倣しようと練習に励む奏と響。しかし、健太と涼子は彼らの「偽りの音」を拒絶し、バンドの音はまるで空をさまよう「無音のコード」のようだった。それでも二人の秘めたる才能が開花し、模倣の精度が上がるにつれて、健太と涼子も徐々に希望を見出し始める。

オーディションが始まり、奏と響の麗と律になりきったパフォーマンスは審査員やファンを驚かせた。だが、完璧な模倣を続ける中で、奏は自分自身の歌を見失う不安に、響は律の影を追いかける中で自身の音を見失う感覚に苛まれる。麗の魂を受け継ぎつつも奏自身の歌が、律の音を再現しつつも響自身の情熱が、無意識に滲み出ていく。

最終ステージで、奏は麗としてではなく、自分自身の「声」で、響は律のコピーではなく、自分自身の「音」を奏でたいという強い衝動に駆られる。戸惑う周囲をよそに、彼らの演奏は、亡き二人への追悼と未来への決意を込めた、4人にしか出せない新たな「Twinkle Note」の音へと変化していく。健太と涼子もその「新しい音」に寄り添い、バンドはこれまでにない盤石な響きを奏でる。オーディションの結果は描かれないが、彼らは模倣ではない、新たな生命力に満ちた自分たちの音楽を創造していく旅を始めるのだった。
Nコード
N6912KU
作者名
Tom Eny
キーワード
ネトコン13 123大賞6 パッシュ大賞 ESN大賞9
ジャンル
ヒューマンドラマ〔文芸〕
掲載日
2025年 07月22日 21時50分
感想
0件
レビュー
0件
ブックマーク登録
0件
総合評価
0pt
評価ポイント
0pt
感想受付
受け付ける
※ログイン必須
レビュー受付
受け付ける
※ログイン必須
誤字報告受付
受け付ける
※ログイン必須
開示設定
開示中
文字数
4,152文字
作品を読む
スマートフォンで読みたい方はQRコードから

同一作者の作品

N6600LD| 作品情報| 短編| 推理〔文芸〕
プロレスラーのユウジは、長年のライバル、カイへの抑えきれない**「本物の憎しみ」**を抱えていた。 それは、リング上の全ての**「シナリオ(約束)」**を破るほどの、本気の劇薬。 静寂に切り替わったリング中央で、ユウ//
N3902LD| 作品情報| 短編| 空想科学〔SF〕
数年間、東京の空は**「黒い油絵の具」をぶちまけたような、分厚い「常雲」**に覆い尽くされていた。太陽の光は地上に届かず、重く静まり返った空気こそが、この虚構のアーキテクチャを作り上げた「王」の絶対的な支配の象徴だった。//
N2549LD| 作品情報| 短編| 空想科学〔SF〕
西暦2077年、世界はAR(拡張現実)技術によって「理想都市」に完全に上書きされていた。 主人公アキラが住む第六区画は、リセット法によりかつての街の記憶を消され、ARグラスを通しては、幾何学的なグリッド線と冷たい青色の//
N1486LD| 作品情報| 短編| ヒューマンドラマ〔文芸〕
才能じゃ勝てない。だったら、裏口を探すしかないだろ――。 雑踏の中に立ち尽くすユウトは、若手トップスターとして輝く同期の俳優、シュンとの差に焦燥を募らせていた。子役時代から同じ道を歩んできたにも関わらず、自分だけが鳴か//
N8627LC| 作品情報| 短編| ヒューマンドラマ〔文芸〕
一年前に友人たちとのドライブ中に事故を起こし、彼らを失ったユウキは、深い自責の念に囚われ、生きる希望を失っていた。友人たちとの思い出が詰まった車を実家の庭に放置したまま、毎日をただやり過ごす日々。なぜ俺だけが……。あの日//
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ