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ある日の共和国陸軍兵器開発構築本部、あるいは魔女の日常

短編
あらすじ
 ある商人は国の支配者に言った。

「あの魔女の要求を拒んではなりません」

 しかし支配者たちは言った。

「法に依らねば国が成り立たない。一個人の我儘だけを聞くわけにはいかない」
「そんな道理のわからぬものは放っておきなさい」

 商人はしれっと返した。

「私の富を見なさい。私の成功を見なさい。すべては魔女のおかげです」

 なおも言い募る支配者たちに商人は決断を迫った。

「魔女がこの国に居る限り、この国の繁栄は約束されるのです。もし魔女を排斥するというのであれば、私もこの国を捨てましょう」

 魔女の件はともかく、商人に逃げられるのは困る。支配者たちは折れた。商人の弁については半信半疑なものが大半であったが、商人の言ったことは驚くべきことに事実であった。
 
 それから半世紀。

 魔女は小銃弾の生産数の桁をみっつよっつ増やし、自己緊縛軽量砲を開発し、アルミヘッドの直噴ディーゼルエンジンを量産し、真空管の不良率を押し下げた。
 駆逐艦は6万馬力の蒸気タービンで35ノットを出し、戦闘機は音速を超えた。

 商人はやがて老いたが、死ぬ間際に、病をおして支配者たちのもとに最後の念押しに訪れた。

「けして魔女を粗略に扱わぬよう…」

 それが25年ほど前。この話を聞いた宇宙人は思った。

「それってどこの座敷童だよ」
 
Nコード
N6851CX
作者名
ふみ
キーワード
架空戦記 戦争 軍隊 ミリタリー
ジャンル
その他〔その他〕
掲載日
2015年 10月12日 20時58分
最終更新日
2016年 05月19日 14時32分
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文字数
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