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離縁届を出した翌日、夫の領地で私だけが読める古代魔法陣が起動しました。——ご安心ください、解呪方法は置いていきませんので

あらすじ
五年間の研究は、道楽と呼ばれた。

古代魔法文字を読める人間は、この国に三人。 クラウディアはその一人として辺境伯に嫁ぎ、 領地の豊穣を支える魔法陣を守り続けた。

帳簿を整え、税制を正し、交易路を繋いだ。 夫はその全てを自分の功績として王都に報告し、 愛人の前で妻を「可愛げがない」と笑った。

離縁届に署名する手は、震えなかった。 研究は終わった。もう、ここにいる理由がない。 引き継ぎ資料は完璧に残した。古代魔法文字で。

読めるかどうかは、勉強不足の問題である。

王立学院に戻ると、自室の机に論文が置かれていた。 六年前に書いた自分の卒業論文。 余白が、知らない誰かのメモで埋まっている。

褪せたインクと新しいインク。 何年もかけて書き足された問いかけの数々。 最後のページに一行だけ添えられていた。

研究室は隣です、と。

元夫の領地は、彼女がいなくなった途端に傾き始める。 魔法陣の制御者を失った大地が、枯れていく。 戻ってこいと使者が来る。今更、必要だと。

彼女にはその領地を遠隔で救う理論がある。 だが実行するには、自分の意志で決めなければならない。 五年分の怒りが、その手を止めている。

学者が怒りで結論を歪めた時、 それはかつて研究を道楽と呼んだ人間と何が違うのか。
Nコード
N6592LW
作者名
九葉(くずは)
キーワード
女主人公 ざまぁ 離縁 学者 古代魔法 王立学院 恋愛 領地経営
ジャンル
異世界〔恋愛〕
掲載日
2026年 03月07日 12時03分
最終掲載日
2026年 03月07日 12時04分
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