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短編
あらすじ
「……部長」

「ん?」

 朝のオフィス。始業してそう経っていない時間帯で、空調の音とキーボードの打鍵音だけが淡々と流れている。書類に目を通していたおれは、その呼びかけに顔を上げた。
 デスクの前に立っていたのは部下の国石。両手を前で揃えて垂らし、背筋を伸ばしている。だが表情は妙に硬く、影を落としたように暗かった。
 やらかしたな――そう直感したおれは柔らかい表情を作り、「どうした?」と優しい声で訊ねた。
 そう、優しく穏やかに、だ。何を言われても怒らない。心の中でそう念じる。昨今はコンプライアンスだのハラスメントだのなんだの、部下の説教すら憚れる世情である。地雷原の中を歩かされるようなもので、まったく面倒だが時代なのだから仕方がない。

「……しばらく、会社を休もうと思います」
Nコード
N6065LS
作者名
雉白書屋
キーワード
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ジャンル
ヒューマンドラマ〔文芸〕
掲載日
2026年 02月07日 11時00分
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