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貯めたポイント、どう使う?

短編
あらすじ
「ポイントカード、お作りしますか?」
 スーパーに買い物に行ったら、若い女性の店員にそう聞かれた。
「いや、いいです」
 もともと勤めていた会社をクビになって、田舎の会社に就職した。田舎だから、本当に店が少ない。おまけに、もとの会社をクビになって再就職したけど給料が安いから車も買ってない。わざわざ1時間歩いてスーパーに来た。
「今、ポイントカードを作って頂くと、ポイント2倍になりますが、いかがですか?」
「いや、大丈夫です」
「本当に大丈夫ですか?無料ですぐにお作りできますよ?」
「・・・作ります」
「かしこまりました」そう言って、店員は新しいポイントカードを取り出して、手渡した。
 前の会社をクビになって、付き合っていた彼女にも呆れられて振られた。結婚指輪も準備しようとしていた。会社の経営が悪くなって、リストラが始まって、オレはクビを切られた。彼女には振られ、田舎に住むことになって、車も買えなくなった。
 パラパラと雨が降ってきた。傘はもちろん持っていない。鳥が鳴いている。大通りを歩く。車が往来する。雨足は強くなる。目を上げる。灰色の雲が頭上を覆っている。シャワーのように雨が降り始める。頭は濡れる。服は濡れる。買い物袋も濡れる。顔も濡れる。目も濡れる。
 家に戻ったときには、まるで川遊びでもしてきたかのように、全身ずぶ濡れだった。服を脱いで洗濯機に放り込む。
1人、ベッドの上に突っ伏していた。

 ピロンと、スマホが音を鳴らした。何だろう、と思ってスマホを手にとると、当選おめでとうございます、とメッセージが入っていた。また詐欺メッセージか。どこかから情報が漏れているんだろう。しょっちゅう、何かに当選したとか、成人向け動画の支払い要求とか、連絡が来る。
 
 外を見ると、もう雨は止んでいた。外に出た。歩いて行って、店に入った。写真の中から、前回と同じ女を選んだ。

 風俗店を出たときには、もう外は暗かった。財布の中身を見ると、お札がもう無くなっていた。

 また翌週、スーパーに寄って牛乳を買った。ポイントカードを出した。いつもご利用有難うございます、と言われた。
 店の壁に、チラシが貼ってあった。ポイント貯めると、交換できる景品だ。
Nコード
N6001JS
作者名
ちくわドーナツ
キーワード
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ジャンル
ヒューマンドラマ〔文芸〕
掲載日
2024年 11月05日 18時36分
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文字数
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