- あらすじ
- その人は、前からそこにいた気がする。
電車の窓に映る自分の顔の向こうで、男が立っている。
背は高くも低くもない。
スーツ姿で、特別目立つところもない。
なのに、視線が離れない。
どこかで見たことがある。
昔から知っている気もする。
でも、思い出せない。
電車が揺れる。
窓に映る景色が流れていく。
その瞬間、男の目がこちらを向いた。
――黒い。
完全に黒い。
白目がない。
瞳もない。
ただ、真っ黒だった。
思わず振り返る。
そこには誰もいない。
「……気のせいか」
小さく呟く。
車内はいつも通りだ。
人の話し声、電車の走る音、吊革の揺れる音。
全部ある。
それでも、胸の奥に妙な違和感が残っていた。
最近ずっとそうだ。
何かが引っかかっている。
大切な何かを忘れているような感覚。
思い出そうとすると、胸が痛む。
スマホの写真フォルダを開く。
友達との写真。
旅行の写真。
大学のサークル。
でも一枚だけ、妙だった。
写真の中央に、空間がある。
まるで、誰かがそこに立っていたかのように。
「……俺、誰かと付き合ってたっけ」
言葉にした瞬間、胸の奥が締め付けられる。
思い出せない。
名前も、顔も。
それでも。
確かに、誰かを――
その時だった。
ふと、気づく。
周囲の音が
消えていた。
- Nコード
- N5851LW
- 作者名
- かさ
- キーワード
- シリアス ダーク 男主人公 現代
- ジャンル
- その他〔その他〕
- 掲載日
- 2026年 03月06日 20時00分
- 最新掲載日
- 2026年 03月10日 21時00分
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- 5,305文字
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喰い譚-感情を喰う者-
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