- あらすじ
- 私が婚約破棄されたのは、春の舞踏会の夜だった。
シャンデリアの光の下で、王太子は私の名を呼び、一言だけ言った。
「リーネ・フォルトナー。君との婚約は、今日をもって無かったことにする」
周囲が静まり返った。
私の指先が冷たくなる。
それだけが、その夜、私の体が示した唯一の反応だった。
王太子の隣には、義妹のエルヴィラが立っていた。
瞳を潤ませて、私を見上げている。
その目は「お姉様、お気の毒に」と言っていたが、口元が微かにゆるんでいた。
(……ああ、やっぱりそういうことか)
気づいていた。
半年前から、王太子の態度が変わっていたことも。
エルヴィラが社交界で「姉の話」をするときの、あの微妙な間の取り方も。
だから私は、泣かなかった。
背筋を伸ばして、一礼した。
「承知いたしました」
それだけ言って、私は舞踏会場を出た。
丸くなった背中に、誰かの囊き声が当たった気がした。
振り返らなかった。 - Nコード
- N5199LX
- 作者名
- 渚月(なづき)
- キーワード
- 異世界転生 異世界転移 女主人公 西洋 ハッピーエンド 異類婚姻譚 成り上がり 溺愛
- ジャンル
- 異世界〔恋愛〕
- 掲載日
- 2026年 03月14日 20時12分
- 感想
- 0件
- レビュー
- 0件
- ブックマーク登録
- 2件
- 総合評価
- 114pt
- 評価ポイント
- 110pt
- 感想受付
- 受け付ける
※ログイン必須 - レビュー受付
- 受け付ける
※ログイン必須 - 誤字報告受付
- 受け付ける
※ログイン必須 - 開示設定
- 開示中
- 文字数
- 3,562文字
設定
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄の先にあったのは溺愛契約でした
作品を読む
スマートフォンで読みたい方はQRコードから
同一作者の作品
N5909LX|
作品情報|
完結済(全10エピソード)
|
異世界〔恋愛〕
植木鉢が割れていた。
私が五年かけて育てた薬草の、あの鉢が。
王宮の裏庭に転がるその破片を見つけたのは、断罪の宣告を受けた翌日のことだった。
罪状は「魔導管理局の資材横領」。
身に覚えはない。
けれど弁明の場は与えら//
N9682LX|
作品情報|
完結済(全10エピソード)
|
異世界〔恋愛〕
前世の記憶がバレたら、私はこの世界で居場所を失う。
それでも、この手が知っている薬の知識を眠らせてはおけなかった。
魔法ギルドの片隅で、誰にも見つからないよう研究を続けていた。
この世界にない理論で書いた実験ノートを//
N1072LY|
作品情報|
完結済(全20エピソード)
|
異世界〔恋愛〕
目を覚ますと、見知らぬ世界の没落貴族の少女レティシアになっていた。
遠縁のドルーク家に全財産を奪われ、銅貨数枚で交易街リンデに放り出された彼女は、前世の社会人経験を武器に宿屋の品書き改善から再出発する。
商会で書記の職を//
N3201LX|
作品情報|
完結済(全10エピソード)
|
異世界〔恋愛〕
目を覚ました瞬間、自分の指先が青白く光っていた。
見覚えのない天蓋が、知らない朝日に照らされている。
身体を起こすと、右の掌に複雑な紋様が刻まれていた。
魔法陣だ。
それも、私が三年かけて設計した——まだ誰にも見せて//
N7579LX|
作品情報|
完結済(全10エピソード)
|
異世界〔恋愛〕
包丁を置いた。
五年間握り続けた、私の右手だけが覚えている重さ。
宮廷料理局の厨房を出るとき、振り返らなかった。
振り返れば、きっと足が止まる。
罪状は「王太子の食事に毒を盛った」。
身に覚えはない。
けれど、公爵令//
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。