- あらすじ
- ――断罪のない国――
この王国には、「断罪」と呼ばれる公開裁定制度があった。
罪人を舞台に立たせ、群衆の前で裁き、炎のような感情をもって秩序を保つ――それは司法であり、儀式であり、娯楽でもあった。
制度を支えてきたのは、老練な官僚デルガ。
彼は断罪を「若者の怒りを吸収する装置」として設計し、国家の安定を守ってきた。
だが、時代は変わる。
若手宰相候補カイの登場により、断罪は急速に演出化・洗練化される。
透明性、公平性、合理性を徹底した“進化した断罪”は民衆の支持を集め、国家的エンタメへと到達する。
一方で、デルガは違和感を覚える。
断罪は正しくなった。
だが「正しすぎる」ことで、若さや人間性を静かに削り始めているのではないか――。
象徴的存在として制度に翻弄され続けた少女レイアは、成長し、自ら断罪の被告席に立つ。
理性的で美しいその姿は、断罪がついに**感情を必要としない“処理”**へ変質したことを示していた。
王子アルベルトは、国家としての決断を下す。
「断罪制度そのものを、断罪する」。
制度は検証の対象となり、
怒りの市場化、若者の消耗、物語による単純化――
断罪が抱えてきた構造的罪が白日の下に晒される。
そして次に問われるのは、さらに根源的な問題だった。
「国家は、物語を乱用してきたのではないか」
デルガは責任を引き受け、自らを被告席に置く。
カイは物語の必要性を訴え、激しく反発する。
だがレイアの一言が、すべてを変える。
「私たちは、役ではありません」
善と悪、英雄と悪役――
その単純な構図こそが、人を消費してきたのだと、民衆は初めて気づく。
断罪は続く。
だが、物語としては終わる。
やがて断罪制度は正式に廃止される。
デルガは引退し、城を去る。
カイは宰相に就任し、「物語ではなく政策で勝負する政治」を選ぶ。
レイアは象徴ではなく、一人の市民として社会に関わり続ける。
最後に残るのは、舞台のない広場。
装置のない国家。
そして、問い続ける人々。
断罪は国家の鏡だった。
鏡を壊したのではない。
国家はようやく、自分自身の顔を直視できるようになったのだ。
物語は終わる。
だが、国家は続く。
問いながら。
選びながら。 - Nコード
- N5095LT
- 作者名
- 南蛇井
- キーワード
- ギャグ 男主人公 西洋 悪役令嬢 宰相
- ジャンル
- ハイファンタジー〔ファンタジー〕
- 掲載日
- 2026年 02月12日 07時00分
- 最新掲載日
- 2026年 02月15日 07時30分
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悪役令嬢断罪請負人デルガ
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