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幸せの鬼

短編
あらすじ
自称「幸せの鬼」こと古北は、長年の経験から「究極の安楽は、それを求める過程の苦痛(疲労)に比例する」という持論を持っていた。

ある休日、彼は高級家具店で3時間も歩き回り、足腰が限界に達した状態で座った50万円の椅子に「天国のような心地よさ」を感じ、衝動買いしてしまう。しかし、この体験が彼に冷徹な洞察を与える。

後日、会社で「現実の自分を捨て、理想の自分になれる匿名デジタル空間」という新規事業の会議が行われる。絶賛する周囲に対し、古北は皮肉な懸念をぶつける。 「このサービスが『最高の解放』であるためには、利用者が現実世界で『最高の抑圧と疲労』を感じ続けていなければならない。ならば我々の真の仕事は、人々を疲弊させる地獄を維持することではないか。」

会議では一蹴されるが、帰宅した古北は確信する。あの50万円の椅子は、疲れ切っていない今の自分にはそれほど快適ではない。結局、人間は苦痛から逃れる瞬間の「差分」を幸せと錯覚し、また次の逃避先を求めて歩き続けるだけなのだ。

古北は、人々が逃避したくなるような「疲れる社会」を作り出す側にいる自らの皮肉な宿命を受け入れ、安価な椅子に座り直して独りごちるのだった。
Nコード
N4790LP
作者名
リチャード比叡山
キーワード
現代 日常 椅子
ジャンル
エッセイ〔その他〕
掲載日
2026年 01月06日 21時11分
最終更新日
2026年 01月06日 21時14分
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自称「幸せの鬼」こと古北は、長年の経験から「究極の安楽は、それを求める過程の苦痛(疲労)に比例する」という持論を持っていた。 ある休日、彼は高級家具店で3時間も歩き回り、足腰が限界に達した状態で座った50万円の椅子に「//
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