ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

Tの終焉

あらすじ
「探偵小説」は、本質的に「欠陥」を含んでいる。
 ここで言う「欠陥」とは、「探偵小説」が探偵小説たるために不可欠であるにも拘らず、それの真の完成を最後の時点で決定的に阻む「躓きの石」としても機能するという意味で、非常に逆説的な一要素のことを指している。そしてその所謂「アポリア」の淵源は、結局のところ、「探偵小説」が「モノローグ」でしかありえないというところにこそ求められる。「探偵」が情報を集め、推理を進め、徐々に謎を解き明かし、最後にようやくたどり着くはずの「真相」は、実際には「探偵」が情報を集めるより前から既に「作者」(≠語り手/現実に生きて、動いている人物としての作者)によって作中に内蔵されていなければならない。つまり「探偵」は一見どれだけ活躍しているように見えようとも、結局敷かれたレールの上を行ったり来たりしているだけにすぎず、だからこそ「探偵小説」はその系列の正統な嫡子であることを目指す限り、実際には超越的な立場に安住し、高みの見物を決め込む「作者」渾身の、自己満足的に脚色された「事件の報告書」にしかなり得ない。要するに、そういうことだ。
 だから翻って考えれば、今ここに語り出されようとしている「物語」は、「探偵小説」に対する「絶対的な《他者》」たることこそが求められている。「探偵小説」としてある限り、決して逃れることのできないくだんの「アポリア」をいかにして超克するか、そのことについて答え=実践がこの「物語」なのである。
 とは言え、広大な電脳空間上の一スペースをお借りしたうえでただ単に「探偵小説」がどうたらこうたらとかいう極めてニッチすぎる「お喋り」にのみ延々終始するのは、どう考えてもそれ自体があまりに自己満足的に過ぎている。それゆえ「物語」に仮託する形で為された試論、及びそれにより得られたわずかばかりの知見は、ゆくゆくはより大きな問題へと敷衍されていかなければならない。つまり概括すれば、ある種の普遍的な「出口なし」状況(≒閉塞、八方ふさがり、袋小路、牢獄、etc.)からの脱却、それが本「物語」の真の眼目である。……お分かり、いただけただろうか……?

Nコード
N4497KU
作者名
速水アオイ
キーワード
ダーク 現代 職業もの ハードボイルド 私小説 探偵小説 怪談 スパイ ヤバい。
ジャンル
推理〔文芸〕
掲載日
2025年 08月15日 20時20分
最新掲載日
2025年 10月03日 02時04分
感想
0件
レビュー
0件
ブックマーク登録
0件
総合評価
0pt
評価ポイント
0pt
感想受付
受け付ける
※ログイン必須
レビュー受付
受け付ける
※ログイン必須
誤字報告受付
受け付ける
※ログイン必須
開示設定
開示中
文字数
68,407文字
作品を読む
スマートフォンで読みたい方はQRコードから

同一作者の作品

N4497KU| 作品情報| 連載(全44エピソード) | 推理〔文芸〕
「探偵小説」は、本質的に「欠陥」を含んでいる。  ここで言う「欠陥」とは、「探偵小説」が探偵小説たるために不可欠であるにも拘らず、それの真の完成を最後の時点で決定的に阻む「躓きの石」としても機能するという意味で、非常に逆//
N1332JV| 作品情報| 完結済(全114エピソード) | ホラー〔文芸〕
「兎と亀のレースで、勝った亀の魂を探してほしい」  学校図書館に勤めている「私」は、便所の中でたまたま出会った「兎」から、そのような依頼を受ける。「兎」によれば、その「亀」の甲羅が何者かによって砕かれたことで、そいつの魂//
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ