- あらすじ
- 晴れた朝の海辺、孤独な猫はいつものように岩場に座り、冷えた体を温めていました。しかし、その日は隣の岩にいるはずの老いたカモメの姿がありません。
猫は、これまで「騒がしくて鬱陶しい」とさえ思っていたカモメがいないことに、言い知れぬ寂しさを覚えます。気になってカモメのねぐらを覗くと、カモメは「寿命で体が重く、もう飛ぶ気力がない」と告げます。猫は「ゆっくり休めばいい」と素っ気なく返しながらも、「ひとりぼっちじゃ可哀想だから」と照れ隠しをしながら、翌日の訪問を約束します。
その夜、猫はいつもの寝床で、カモメの声がない空間に「ぽっかり穴が開いたよう」な喪失感を覚えます。
翌朝、約束通りカモメの元を訪れた猫が見たのは、朝の光に包まれたまま、静かに動かなくなっているカモメの姿でした。猫は「もう無理して飛ばなくてもいいんだな」と小さく呟き、静かに別れを受け入れます。
その後も、猫は毎朝岩場に来ることをやめませんでした。賑やかな会話はもうありませんが、カモメの存在が消えても、海と朝、そして共に過ごした「日々の温かい記憶」が猫のそばに残り続けたのです。 - Nコード
- N4342LJ
- 作者名
- 洸
- キーワード
- 秋の文芸展2025
- ジャンル
- 純文学〔文芸〕
- 掲載日
- 2025年 11月16日 23時00分
- 感想
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- 文字数
- 889文字
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満ち足りない岩場
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