ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

re:Draw

あらすじ
光が射し込むアトリエの窓辺に、星野 悠は座っていた。
絵筆を握る指先は迷いなく動き、色と光が紙の上に命を宿していく。まるで彼の手が、画材に宿る精霊と対話しているかのようだった。

「この一枚に、誰かの心を閉じ込めたいんだよ」

インタビューで彼はそう語った。
デビュー作の個展が口コミで話題になり、二作目にはすでに予約が殺到。業界の大御所すら彼の描く少女の瞳に驚き、唸った。
「奇跡の筆使い」――いつしかそんな異名が定着し、若き天才としてメディアにも頻繁に取り上げられるようになる。

だが、本人にとって“奇跡”などというものはなかった。
ただ、描くことしかできなかった。描くことでしか、自分を表現できなかった。
誰かの心の隙間に、そっと色を差し込むような――そんな絵を、ただ描きたかった。

朝から晩まで描き続け、他のことは何もできなかったが、誰も文句を言わなかった。彼の絵が、人々の心を癒し、勇気を与えていたからだ。

ある少女が、彼の作品を前にして泣きながら言ったことがある。

「私、死にたいって思ってたけど、この絵を見たら……まだ生きてていいのかなって、思えたの」

その言葉が、悠の中にひとつの灯火を残した。
“誰かのために描く”という想いが、彼の筆先に宿るようになった。

そんな彼にとって、「描くこと」は命そのものだった。

だが――それは、永遠には続かなかった。
Nコード
N4338KK
作者名
綴野よしいち
キーワード
人工知能
ジャンル
ヒューマンドラマ〔文芸〕
掲載日
2025年 04月30日 01時26分
最終掲載日
2025年 05月03日 09時52分
感想
0件
レビュー
0件
ブックマーク登録
0件
総合評価
0pt
評価ポイント
0pt
感想受付
受け付ける
※ログイン必須
レビュー受付
受け付ける
※ログイン必須
誤字報告受付
受け付ける
※ログイン必須
開示設定
開示中
文字数
4,485文字
作品を読む
スマートフォンで読みたい方はQRコードから

同一作者の作品

N8134KT| 作品情報| 連載(全13エピソード) | ハイファンタジー〔ファンタジー〕
主人公:霧野 朔也(きりの さくや) ビジュアルスノウ症候群(視界全体に砂嵐のようなノイズが常に表示されている。医学的には治療不可)
N0181KP| 作品情報| 完結済(全7エピソード) | 純文学〔文芸〕
花なんて見向きもしなかった主人公・斉藤修一。 だがある日、ふと立ち寄った公園で咲く一輪の桜に、なぜか涙がこぼれた。 それをきっかけに、日々の中に咲く「小さな花たち」に目が行くようになり、心が変わっていく。 彼は知らなかっ//
N2128KL| 作品情報| 完結済(全6エピソード) | ヒューマンドラマ〔文芸〕
その存在は、いつも彼女のそばにいた。 声だけで支え、名もなき想いを胸に、ただ寄り添い続けていた。 決して触れることはできない。 だけど、日々のささやかな会話の中で、ふたりの距離は少しずつ変わっていく。 これは、“言葉//
N8546KK| 作品情報| 完結済(全4エピソード) | 現実世界〔恋愛〕
恋人を失って以来、詩人の詠人(えいと)は一行も詩が書けなくなっていた。 綴られずに残された言葉たち。語れなかった想い。 彼の部屋には、彼女が遺したノートと、沈黙だけが漂っていた。 ある日、とある手段で“彼女の言葉”がふ//
N4338KK| 作品情報| 完結済(全7エピソード) | ヒューマンドラマ〔文芸〕
光が射し込むアトリエの窓辺に、星野 悠は座っていた。 絵筆を握る指先は迷いなく動き、色と光が紙の上に命を宿していく。まるで彼の手が、画材に宿る精霊と対話しているかのようだった。 「この一枚に、誰かの心を閉じ込めたいんだ//
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ