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10年後の君へ

あらすじ
 2020年8月。千家春彦はある事がきっかけで、10年前の2010年8月にタイムリープする。
 そこで自殺したはずの同級生、南小夜子から連絡が入り、それは春彦の人生を狂わせていく事になる……。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 無邪気に笑う真弓を見て、なぜか懐かしさを感じる。僕の元いた世界は2020年。今から10年後だ。でももうほとんど覚えていない。今いるこの世界に元から産まれ育った感覚さえある。
 車椅子を握る手に力が入る。この世界でも真弓と2人で歩んで行きたい……。
「あっ!いたいた!おぉい!真弓!春彦!」
「美緒!遅い!どこまでトイレ行ってたの!もう!」
「ごめんごめん!あまりに混んでたから道路向かいのコンビニまで行ってた!」
「美緒があまりに遅いから、一足先に私達はめでたく結婚しましたぁ!」
 真弓が薬指にはめた玩具の指輪を美緒に自慢する。
「え!?ちょっと!何その指輪!!春彦!もうプロポーズしたの!早くない?」
「してないしてない。それはくじ引きの景品だ」
「あぁ、そうなんだ。はいはい良かったでちゅねぇ、真弓ちゃん。よちよち」
「春彦君!何でバラすの!もう!」
「えぇぇぇ……」
「ぷっ!あははは!」
 こんなに笑う真弓を見るのはいつぶりだろう。胸の奥で熱くなるものがある。


……
………

「手を!!手を伸ばせ!!もう少し!」
「もう駄目……私の事はもういいから……春彦君だけでも……お願い――」
「うるさい!!もう少し――!!」
「うぅ……!!」
 彼女はもう助からない……苦しそうな彼女の顔を見て、そんな現実が脳をかすめた。それでも僕は必死で手を伸ばしている。それは罪滅ぼしなのか、自己満足なのか……?
 しかし誰よりもそれを悟った彼女の表情が、ふと笑顔に変わる。
「ま……真弓?」
 ――そして彼女は最後に……笑ってこう言った。


「ありがとう……」と。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

※この物語は災害について記載しています。

執筆2023.11.17〜12.25
公開2023.12.31
改訂2024.12.10〜2025.1.7
Nコード
N4087KC
作者名
ざこぴぃ
キーワード
R15 残酷な描写あり パッシュ大賞 ESN大賞9 シリアス 男主人公 学園 平成 青春 超能力 タイムリープ 123大賞6 ネトコン13 集英社小説大賞6
ジャンル
ローファンタジー〔ファンタジー〕
掲載日
2025年 02月15日 22時29分
最終掲載日
2025年 03月05日 21時44分
感想
0件
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レビュー受付停止中
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総合評価
14pt
評価ポイント
10pt
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開示設定
開示中
文字数
102,156文字
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