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魔王様の図書館

短編
あらすじ
あらすじ

勇者は魔王を倒した。

魔王軍は滅び、魔王城は焼かれる。

けれど、その地下にあった図書館だけは、勇者の命令によって残された。

「本だけは、人を憎まない。」

そう語った老いた魔王は、すべてを失ったあと、一人の司書として静かに生き始める。

毎日、本を磨き、誰も来ない図書館で扉を開け続ける。

そんなある雨の日、一人の少女が迷い込む。

文字を知らない少女へ、魔王は「あ」から教え始めた。

やがて少女は本を読み、夢を持ち、人へ知識を伝えていく。

農夫は農業書で畑を救われ、兵士は詩集に心を救われ、母親は医学書で子どもの命を守る。

魔王は誰の名前も覚えず、恩を着せることもない。

ただ、その人に必要な一冊を差し出し続けるだけだった。

それから幾十年。

図書館は町の中心となり、人々の人生を静かに変えていく。

そして、魔王が最後の時を迎えた日――。

棺の前で、一人の老女が静かに口にした。

「先生。」

その一言は、いつしか図書館中へ、町中へと広がっていく。

これは、英雄にも悪役にもなれなかった一人の魔王が、本を愛し、人を信じ続けた物語。

きっと読み終えたあと、あなたも誰かに一冊の本を手渡したくなる。
Nコード
N4057MO
作者名
くろめがね
キーワード
魔王 中世 日常 図書 図書館 感動
ジャンル
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
掲載日
2026年 08月05日 20時09分
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