ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ある視線

短編
あらすじ
 ――え……?

 アパート暮らしの大石という男がいた。その夜、彼はふと部屋の中をゆっくりと見回し始めた。唐突に、何かの“気配”を感じたのだ。しかし、部屋の様子は朝出かけたときとまったく変わらない。玄関と窓の鍵はきちんと閉まっており、誰かが侵入した痕跡もない。
 だが感じる。言葉では説明しようのない、確かな存在感がそこにある。
 大石は戸棚の隙間、押し入れの中、カーテンの裏――思いつく限りの場所を調べ尽くした。
 何も見つからない。しかし、諦めて布団に潜り込んだあとも、その気配は消えることはなかった。
 やがて、大石は確信した。間違いない、自分は――。

「幽霊に取り憑かれたみたいなんだ……」

 一週間後の晩。居酒屋のテーブルを挟んで向かい合う友人に、大石はそう打ち明けた。
 友人は「はあ?」と言いかけ、言葉を飲み込んだ。目の下には濃い隈、頬はげっそりとこけ、顔色も悪い。冗談を言っているようには到底見えなかった。

Nコード
N3371KO
作者名
雉白書屋
キーワード
キーワードが設定されていません
ジャンル
ヒューマンドラマ〔文芸〕
掲載日
2025年 06月05日 11時00分
感想
0件
レビュー
0件
ブックマーク登録
0件
総合評価
6pt
評価ポイント
6pt
感想受付
受け付ける
レビュー受付
受け付ける
※ログイン必須
誤字報告受付
受け付ける
※ログイン必須
開示設定
開示中
文字数
2,135文字
作品を読む
スマートフォンで読みたい方はQRコードから

同一作者の作品

N1318LC| 作品情報| 短編| その他〔その他〕
「ようこそ、おいでくださいました」  夜、とある屋敷の玄関ホール。重厚な扉が開くと同時に、青年は深々と頭を下げ、来客を迎えた。  老人たちは思わず「おお」と声を漏らし、皺の刻まれた顔を綻ばせた。 「久しぶりだなあ。立//
N1316LC| 作品情報| 短編| ヒューマンドラマ〔文芸〕
『人殺し……』 「え?」  昼下がりの街中を、何気なく歩いていたときだった。耳元で突然声がして、おれは思わず振り返った。  だが、すぐそばには誰もいない。通行人がちらとこちらを一瞥し、露骨に距離を取って歩き去っていっ//
N1314LC| 作品情報| 短編| ヒューマンドラマ〔文芸〕
「はい、転校生の――くんです。彼も今日からクラスの一員ということで、みんな、仲良くするように!」 「よろしくお願いします!」  少年は、はきはきとした声で挨拶した。ここはとある小学校の教室。転校生の彼は、ぎこちない足//
N1313LC| 作品情報| 短編| 空想科学〔SF〕
「では、これより判決を言い渡します。その前に被告。何か言いたいことは?」 「……ねえよ」  裁判長の問いに、被告人の男は鼻で笑い、唇を薄く歪めた。視線を合わせることもなく、ただ斜め上――天井の一点を見上げ、小さく息を//
N1312LC| 作品情報| 短編| ヒューマンドラマ〔文芸〕
「うぇーい!」「フゥー!」「アーイ!」  ……ほんとに『うぇーい』って言うんだな。  おれは思わず笑いそうになった。夕方の電車。座席に腰を下ろして少し経った頃、優先席のほうからやけに賑やかな声が響いてきた。 「ぎゃは//
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ