- あらすじ
- 薄暗い地下室。小さな窓から差し込む光は、昼でも夕暮れのように頼りない。
その部屋の中央に、彼女は座っていた。手首には鎖。足首には鉄の枷。
僕はその姿を見下ろしながら、皿に盛ったパンと水を差し出す。
「……今日も食べて。君が弱ってしまったら、僕は生きていけない」
彼女は小さく微笑んだ。拒絶も、叫びもない。ただ静かに受け入れるような目。
その目に、僕は救われていた。
「外は危険だ。君は美しすぎるから、すぐに奪われてしまう。だからここにいるんだ。僕が守ってあげる」
自分に言い聞かせるように言葉を重ねる。
けれど彼女はただ首をかしげて、囁いた。
「……あなたこそ、大丈夫?」
胸の奥がざわついた。僕は檻を作ったはずだ。捕まえているのは僕のはずだ。
なのに、その声は、まるで僕を気遣う牢獄の看守のようだった。 - Nコード
- N3356LD
- 作者名
- 清水ナナシ
- キーワード
- R15 残酷な描写あり ESN大賞9 秋の文芸展2025 ダーク 現代 バッドエンド メンヘラ
- ジャンル
- 現実世界〔恋愛〕
- 掲載日
- 2025年 09月28日 10時20分
- 最終掲載日
- 2025年 09月28日 10時26分
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- 文字数
- 795文字
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檻の中の恋人は、僕だった
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N3356LD|
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完結済(全2エピソード)
|
現実世界〔恋愛〕
薄暗い地下室。小さな窓から差し込む光は、昼でも夕暮れのように頼りない。
その部屋の中央に、彼女は座っていた。手首には鎖。足首には鉄の枷。
僕はその姿を見下ろしながら、皿に盛ったパンと水を差し出す。
「……今日も食べて//
N2556LD|
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連載(全3エピソード)
|
ローファンタジー〔ファンタジー〕
斎藤 悠真は鉄道警察官として、日々の任務に追われていた。
ある終電の夜、彼は電車の車内で 赤いランドセルを背負った少女 に出会う。無邪気な笑顔で話しかけてくる少女だが、その存在はどこか不自然で、幽霊のように不可解だった。
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