- あらすじ
- かつて世界を襲った巨大な「波」は、人々の日常と愛する者たちを奪い去った。生き残った少女・海(ウミ)は、絶望のあまり視力を失いかけるが、老巡礼者から授かった「琥珀の目隠し」を纏うことで、肉眼の代わりに魂で世界を見る「心眼」を手にする。彼女が見る世界は、亡き人々の想いが燃えるような赤い光となって立ち昇る、美しい「紅葉」の風景だった。海は、一枚の不思議な紅葉の断片を手に、別れを新しい出会いへと変えるための巡礼の旅に出る。
旅の道連れは、泥の底に繋がれていた鎖から海によって救い出された雄犬のカイと、折れた翼と失った歌を海の熱によって再生させたひばりのソラ。カイは海にとっての「確かな大地」となり、ソラは「空の導き手」として彼女を支える。
一行は、すべてを白く塗り潰すことで悲しみを忘れさせようとする雪の巫女・スノーが支配する峠に差し掛かる。スノーは「忘却こそが救い」だと説き、吹雪で海の行く手を阻むが、海は自らの中にある紅葉の熱を解き放ち、スノーの凍てついた心を溶かす。海は、痛みがあるからこそ優しさが生まれること、そして死は「大地の旅立ち」であることを伝えた。
やがて一行は、母・シオンを海で亡くし、心を閉ざした少年・ナギの村に辿り着く。ナギは母を奪った「海」と同じ名を持つ少女を激しく拒絶するが、ある冷え込む夜、カイの巨体の温もりと生命の匂いに触れる。言葉を超えた命の熱の共有により、ナギの心の氷は溶け、母の愛が自分の中で「生きる力」として新しく生まれ変わっていることに気づく。
海たちが去った後、村には再び季節の歩みが戻る。ナギは、母が遺した紅葉の断片を手に、自分の旅を始める決意をする。それは、どうしようもない運命を美しい創造へと変え、別れを真実の絆へと昇華させる、終わりのない再生の物語である。 - Nコード
- N3141LN
- 作者名
- 御園しれどし
- キーワード
- ドリコム大賞4 123大賞7 魔法
- ジャンル
- ハイファンタジー〔ファンタジー〕
- 掲載日
- 2025年 12月21日 17時00分
- 最新掲載日
- 2025年 12月28日 17時00分
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- 文字数
- 8,958文字
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