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木守り

短編
あらすじ
 なんら世間と変わることの無い、幸せな一家だった。
 それが幼い娘の死をきっかけにして、段々と、不幸の連鎖に陥っていく。
 最初は、幸せな家族の一コマだった。けれどもその幼い娘の死以後、その家族は変わって行った。
 父が自殺して、その親子は路頭に迷う。主人公である守は、初めは屈託の無い、素直な少年だった。
 そんな素直な守は、そんな不幸が続いた或る日、引っ越した粗末な貸家を掃除してから、何気なくポケットに手を突っ込み、そして手にしたあった柿の種を、無雑作に放り投げた。
 いつしかその種は芽を出し、その場に居着いた。そんな芽を、守はせっせと世話を焼いて、その木を育てていたのだった。
 或る日の事。守は得意げにそれを見せようと、母をその場に誘った。けれどもその木を見た途端、母の英子は眉をしかめた。そしてその木を根元から引っこ抜こうとした英子は、突然の心臓発作で死んでしまった。悲しみの中、守は落ち込んだ。
 けれども不思議な癒やしの体験の中で、守は立ち直った。
 しかしそれは、その柿の木の想いでもあった。
 そんな想いの渦中で、守は高校への進学を拒み、小さな部品工場へと就職した。
 そして守は人が変わったように無口になった。そんな守は、人からは厭われ、自然に孤独になって言った。
 いろいろな職場を転々とした守だったが、その職場では不吉な事件が続いていた。そして今就職している職場でも、それは続いた。
 そしてその職場で出会った人々にも、やはり不幸が続いた。その連鎖は守に近寄った人々の間に、その亀裂をもたらし始めた。
 日々、どんな人々にも見受けられる、世間との摩擦。しかしその摩擦は時として、不吉な影をもたらす場面がある。
 守が人に接した時、それは必ず起きる。
 守に取り憑いた魔物は、守を必死で守っていた。
 余りにも純粋なその心で・・。
 しかしその想いは、時に残酷な仕打ちを見せる。そしてその心は、守の心にも浸透していった。
 守に近づく、あらゆる命を遠ざけ、そして滅しようとする、そのあまりに過激な想いと眼差しは、夜叉となって全ての人々を睨んだ。
 そしてその想いは凩の如く夜の闇にこだまして、其の眼をじっとその闇に澄ませるのだった。
 やがてその想いは、不吉な象徴として、ひっそりとその場に、その滲みを広がせ始めた。
Nコード
N2725GG
作者名
西山 行
キーワード
キーワードが設定されていません
ジャンル
ホラー〔文芸〕
掲載日
2020年 05月22日 01時00分
感想
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文字数
55,665文字
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