- あらすじ
- 「マリア。私は、君との婚約を破棄しようと思う。承諾してくれるだろうか?」
テオドール伯爵家の令嬢である私は、イシュトヴァーン公爵家のグラディスから婚約破棄を通告された。
私の目の前に、婚約を確かなものとしていた血の契約書が置かれ、事実上、その撤回を要求される。
「……分かりました。承諾いたします」
私はグラディスの圧力に負け、彼との婚約破棄に同意した。
しかし、私には婚約破棄された心当たりがあった──。
自由に動かない両足だ。貴族学園で悲劇的な事故に遭い、私の両足はただの飾りと化していた。
公爵夫人としての仕事をまっとうにこなせない私など、不要というわけだ。
そして、私は事故に遭ってから、婚約者だけではなく友人達も失った。
……いや、仮初めの友人達が、私の下を去っていった。
「私にはもう、誰もいなくなっちゃったなぁ……」
「……マリア様。そんなことを言わないで下さい。まだ私がいます」
私の呟きに侍女のエルザが目から涙を溢れさせる。
ついには、大粒の涙を流して、子供のように泣き出してしまった。
私は、そんなエルザを見て、軽く微笑みながら優しく語り掛けた。
「エルザ。そんなに泣かないで。実は私、スッキリしてるんだ」
「……マリア様?」
「私はもう自由なの。これからは、『公爵夫人になるのに』と咎められることもないのよ?」
私は真っ青な大空に右手をグッと伸ばすと、雲をつかみ取るように手の平を握りしめる。
「私の前には、希望に満ちた無限の未来が広がってるのよ! 私は諦めない! 私はこれから、エルザと一緒にたくさんの幸せを手に入れるんだ!」
これは、全てを失った伯爵令嬢が、持ち前の明るい性格を生かして、より良い未来を求める物語です──。
※当初、短編として公開予定でしたが、あまりにも長くなってしまいましたので、九話に分割しました。
【ランキング履歴(最高記録)】
日間異世界〔恋愛〕 20位 (2023/12/11 13:00)
日間ランキング〔総合〕 23位 (2023/12/11 13:00)
応援していただき、ありがとうございます!
【第12回ネット小説大賞】 一次選考通過しました!
※「カクヨム」にも掲載しています。 - Nコード
- N2264IM
- 作者名
- 白うさぎの子
- キーワード
- R15 残酷な描写あり 女主人公 西洋 魔法 ハッピーエンド 婚約破棄 侍女 車椅子
- ジャンル
- 異世界〔恋愛〕
- 掲載日
- 2023年 11月01日 09時22分
- 最終掲載日
- 2023年 12月06日 12時51分
- 感想
-
1件
感想受付停止中 - レビュー
- 0件
- ブックマーク登録
- 617件
- 総合評価
- 7,530pt
- 評価ポイント
- 6,296pt
- 感想受付
- 受け付けない
- レビュー受付
- 受け付ける
※ログイン必須 - 誤字報告受付
- 受け付ける
※ログイン必須 - 開示設定
- 開示中
- 文字数
- 52,513文字
設定
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【九話完結】婚約破棄された車椅子の伯爵令嬢が大魔法使いの奇跡の力で歩けるようになってハッピーエンドを迎えるお話
作品を読む
スマートフォンで読みたい方はQRコードから

同一作者の作品
N9754KQ|
作品情報|
連載(全5エピソード)
|
異世界〔恋愛〕
ラインフィールド王国の空は今日も澄み渡っていた。その青空の下、私は魔法学園の制服に身を包み、足を校舎へと進める。
私は王国貴族の名門――エーレンバーグ公爵家の長女、クリスティーナ・エーレンバーグ。高慢な性格ゆえ、多//
N4094JD|
作品情報|
完結済(全17エピソード)
|
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
女王即位をめぐるライゼンハルト王国の内戦が終結した。
介入を企てた周辺国とも講和条約を結び、王国についに平和が訪れた。
そして、人々が日常を取り戻していく中、(暇を持て余した)新女王ソフィアは貴族令嬢向けの一大イベントを//
N4155JX|
作品情報|
短編|
異世界〔恋愛〕
善良な異星人に侵略された王国貴族の男女のお話です。
N5356JS|
作品情報|
完結済(全7エピソード)
|
異世界〔恋愛〕
高慢公爵令嬢 vs お花畑男爵令嬢・・・果たして、その結末は!?
フィクションとして、やや厳しめの身分差を描いています。
そのため、明るい話にはなっていません。
陽気な物語を楽しみたい方には向きませんので、ご注意くださ//
N3753IQ|
作品情報|
完結済(全49エピソード)
|
異世界〔恋愛〕
私が統治するローゼンハイム王国は一夜にして滅びた。
国王に反旗を翻した貴族連合軍によって王都は掌握され、民衆は革命を叫んで王城を取り囲む。各地で民衆が蜂起し、王国を実質的に支配していた上級貴族達は、民衆によって次々//
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。