- あらすじ
- とある夜、駅舎から出た男は足を止め、ぐるりと周囲を見渡した。そして、スーツの袖を軽く押し上げ、腕時計に目を落とす。
五時二分……あと三分か。
いや、おれは何やってんだろうな。こんなことで早引けしてくるなんて。しかも課長に嫌味まで言われて……クソッ、あの野郎。思い出したら腹が立ってきた……。
男は苛立ちながら、再び駅前の通りを見回した。
そろそろだ。たしか、妻の寝言では――午後五時五分、駅前、赤い車、四十代男性、轢かれて死ぬ――だったはず……あっ!
「あら、あなた、おかえりなさい。今日は早かったのね」
家に帰ると、妻がソファで伸びをしながら言った。男は視線を逸らし、もごもごと答える。
- Nコード
- N2019KP
- 作者名
- 雉白書屋
- キーワード
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- ジャンル
- ヒューマンドラマ〔文芸〕
- 掲載日
- 2025年 06月11日 11時00分
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- 総合評価
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- 1,578文字
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寝言
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