- あらすじ
- 彼から借りる本は、シガレットの香りがした――――
ケイトは、不幸な人生を送ってきたわけではない。
ただ、父は去り、進学はつまずき、信じていた友人は金を残して消えた。どれも致命的ではない。けれど「小さな不運」が積み重なり、彼女の世界は少しずつ曇っていった。
「ついてない」
それが、彼女の口癖だった。ある日、ケイトは大学構内で胡散臭い青年・クリュウと出会う。
金髪に青い瞳、軽薄な言葉遣い。彼が差し出したのは、“幸運を感じられる薬”だった。それは幸福を与える薬ではない。不幸が見えなくなるだけの、空色の錠剤。
疑いながらも飲んだその日、ケイトは気づいてしまう。
世界は何も変わっていないのに、自分の感じ方だけが変わったことに。
失敗も、喪失も、苛立ちも、どこか遠くへ流れていく。理由はどうでもいい。ただ「楽」だった。
薬を飲む理由は、次第に軽くなっていく。
嫌な客、壊れた家電、朝の気怠さ。そしていつしか、飲んだ理由さえ忘れるようになる。
薬を売り、傍にいるクリュウは言う。人は幸福を求めているのではない。ただ、不幸から逃げたいだけなのだと。
不幸を感じなくなることは、救いなのか。それとも、ゆるやかな破滅なのか。 - Nコード
- N1994LV
- 作者名
- Hellmärc
- キーワード
- R15 現代 薬物 恋愛
- ジャンル
- 純文学〔文芸〕
- 掲載日
- 2026年 02月23日 01時55分
- 最終掲載日
- 2026年 02月26日 01時02分
- 感想
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- 23,503文字
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