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合い言葉は、木枯らしが消していく

短編
あらすじ
 毎年、同じ日にだけ開く小さな公園のベンチ。そこに座る二人には、たった一つの約束がある――「合い言葉を言えた方だけが、来年もここへ来られる」。
 理由はわからない。誰が決めたのかも、いつから続いているのかも。ただ、木枯らしが吹く夕方、待ち合わせだけは守られてきた。
 ところが今年、言えるはずの合い言葉が、口の中でほどけて消える。相手は笑う。「忘れた?」。忘れていない。覚えているのに、声にできない。喉が、舌が、世界のどこかに“引っかかる”。
 会話は軽いふりをしながら、少しずつ痛いところへ触れていく。合い言葉とは何か。誰のための鍵なのか。来年の「会える」は、誰が保証しているのか。
 そして最後に判明するのは、合い言葉が言葉そのものではなく、もっと残酷で、もっと優しいものだったということ。
 木枯らしが運ぶのは季節だけじゃない。記憶の輪郭も、呼び方も、存在の重さも、少しずつ削っていく。
Nコード
N1798LO
作者名
妙原奇天
キーワード
なろうラジオ大賞7 合い言葉 木枯らし 約束 再会 会話劇 余韻 せつない どんでん返し 記憶 喪失
ジャンル
純文学〔文芸〕
掲載日
2025年 12月27日 13時21分
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