- あらすじ
- 港町シオディエの夜、少女・雨鳥星火は自らを「沈めに」海辺を訪れる。そこで出会ったのは“漂光者”と呼びたくなる青年・風谷雪兎。彼に導かれ、星火は“防波堤の裂け目”から落下ならぬ「浮上」――幻想的な裏世界〈転潮界〉へ迷い込む。
そこには“境界を滑らせる”女・シグネッタ・グルーム、影の汗を吸う回転木馬、そして涙ではない水を排する影の行進……星火は次々と出会う異形の現象に「ばらばらこそ、まとまり」という言葉を胸に刻みながら、“名”と“輪郭”を手放していく。
“終わらない途中”を進む3人の歩みは、やがて水底のレクイエムへと変わる。星火が選んだのは、名を捨ててでも“甘さを覚える”こと。境界が揺らぎ、世界が折りたたまれ、バニラと鉄の匂いが甘く苦く混ざるとき、彼女が見つけた「途中」とは――
これは、名を捨て、境界を泳ぎ、音もなく恋に溺れていく、終わらない途中の物語。
登場人物紹介
雨鳥 星火(あまとり ほしか)
主人公の少女。自分自身を「沈めに来た」と語るほど、迷いと境界の中に生きる。繊細で詩的な感性をもち、出会った人物に“名前”を与える癖がある。物語を通じて「ばらばらこそ、まとまり」「途中を行こう」と語る彼女の姿勢は、全編の核でもある。
風谷 雪兎(かぜたに ゆきと)
星火が“〈漂光者〉”と呼んだ水使いの青年。水鏡や“匣割”といった妖術を操る。言葉少なながらも、星火を静かに支え、“交響”の終章へと導く存在。
シグネッタ・グルーム
「境界潤滑師」を名乗る謎多き女性。黒檀のローブと紫煙のランタンを持ち歩き、時に導き手として、時に狂言回しとして現れる。滑らかな言葉と不気味な比喩で語るが、どこか茶目っ気とユーモアも持ち合わせている。“甘さを割る”ことの意味を星火に教える。
降海の鐘女(こうかいのかなめ)
水宮殿の番人のような存在。白い仮面、涙孔、錆びた鎌を持ち、名を剥ぐ儀式を執り行う。 - Nコード
- N1774KV
- 作者名
- NOVENG MUSiQ
- キーワード
- 123大賞6 スピアノベルス大賞1 パッシュ大賞 アイリスIF7大賞 ESN大賞9 夏のホラー2025 女主人公 怪獣 水底ファンタジー 詩的青春譚
- ジャンル
- ハイファンタジー〔ファンタジー〕
- 掲載日
- 2025年 07月26日 18時52分
- 最終掲載日
- 2025年 07月28日 07時29分
- 感想
- 0件
- レビュー
- 0件
- ブックマーク登録
- 0件
- 総合評価
- 0pt
- 評価ポイント
- 0pt
- 感想受付
- 受け付ける
- レビュー受付
- 受け付ける
※ログイン必須 - 誤字報告受付
- 受け付ける
※ログイン必須 - 開示設定
- 開示中
- 文字数
- 5,248文字
設定
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水迷宮で溺れる恋とチョコレート
作品を読む
スマートフォンで読みたい方はQRコードから

同一作者の作品
N3219KX|
作品情報|
連載(全48エピソード)
|
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
教室の「人気投票」は、放課後の神社で呪符に変わった。
水戸夜菜が手水鉢を覗くと、水面の“私”は半拍早く瞬きし、青白い火とともに異世界へ落ちる。右手には蛇が尾を咥える指輪――ミズガルズ・リング。表示されたステータスは「//
N3532LC|
作品情報|
完結済(全3エピソード)
|
異世界〔恋愛〕
硝港――海をガラスの防潮壁で細かく仕切り、積層した桟橋で人まで仕分ける階層都市。上層区は夜景と資本を、下層区は夜勤と塩気を所有する。透明をうたいながら曇りを抱く街で、情報は“並べ方”で顔を変え、証拠は市立の漂砂図書館に//
N4490KW|
作品情報|
完結済(全48エピソード)
|
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
日本で目立たず生きてきた少女・音依亜は、夏の日の海水浴中に高波にさらわれ、目覚めると異世界の海で息をしていた。女王エルフィラに救われ、次代の女王候補「ネライア」として迎えられた彼女は、王都アクア=リギアで統治学や魔法、//
N5143LB|
作品情報|
完結済(全3エピソード)
|
異世界〔恋愛〕
砂が光を食べては硝子を吐き出す都市・硝都。匂いに書かれた手紙を読む香読師の『鏡砂 霊花』は、砂海に一時だけ架かる【仮橋】の朝、柘榴色の衣をまとった来訪者『Pneuma Solis』から温かな香筒の翻訳を依頼される。
宛名//
N6656LA|
作品情報|
完結済(全3エピソード)
|
異世界〔恋愛〕
図書室職員・玄朧 澄架は、『遅れた拍』を自分の速度表記として生きている。ある日、上下逆の返却札を正した瞬間、紙と香の支配する〈誓書の庭〉へ迷い込み、誓書庁の監査官ニクセリアと出会う。手首に刻まれた【誓墨印】は、感情の速//
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。