ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

人の灯りが消えた世界で

あらすじ
眼が銀に光る少年が瀬戸内海とその先に架かる明石海峡大橋を凝視しぶつぶつと呟く。スマートホンに似たデバイスを手元で操作し、額から尋常じゃない汗が出ているが、それを拭うこともせず集中している。

「立体展開‥‥‥‥‥完了。記憶開始‥‥‥‥‥‥‥完了」

過熱された脳みそを冷却するように大きく深呼吸。
息を整え、そして告げる。

「時間解凍《アンチ・フリーズ》」

明石海峡全体から光の格子が空に向かって一斉に飛び散る。
まるで降り込める雪を逆再生しているような幻想的な光景。
数秒で掻き消えたそれは、崩壊の合図で。

橋全体から金属の軋む叫音。
ブツブツとケーブルが千切れ二本の主塔が中央に向かってゆっくり傾く。
根元の橋台が掘り起こされ海中に隠れていた基礎部が浮き上がる。
渦潮が巻く瀬戸内海に、橋梁の部材がボロボロと落ちていく。

「ふははははははははっ、ふはははははははっははっははははっははははっっ、ごほっ、ごほっ!!」

腕を天に掲げ、人がゴミのようだポーズをする少年。
慣れない叫びで大きく咳き込むが、橋は尚も自壊を続ける。

波打つ白波が海岸線を侵食し島内の大地が地震のように揺れる。
そのまま半刻ほど轟音が続き、橋の路面が中央でぱっくり割れた形になってようやく止まる。
橋の原型はわかるものの既に人が渡ることはできない。
少年は今更怖くなってきたのか大きく身震いをする。

「‥‥‥帰ろ」

諦めのような罪悪感のような諸々混ざった嘆息を残し、岬を後にする。
背に浮かぶ光景は、薄く白んでき朝焼けと相まってあまりに終末的だった。


※誤字脱字など報告いただけるとありがたいです。

Nコード
N1674IM
作者名
糸間ゆう庵0358
キーワード
異世界転生 異世界転移 スピアノベルス大賞1 男主人公 現代 魔法 異能力バトル 時間停止 終末世界
ジャンル
ローファンタジー〔ファンタジー〕
掲載日
2023年 10月30日 19時19分
最新掲載日
2025年 09月30日 20時38分
感想
12件
レビュー
0件
ブックマーク登録
20件
総合評価
124pt
評価ポイント
84pt
感想受付
受け付ける
レビュー受付
受け付ける
※ログイン必須
誤字報告受付
受け付ける
※ログイン必須
開示設定
開示中
文字数
608,097文字
作品を読む
スマートフォンで読みたい方はQRコードから

同一作者の作品

N1674IM| 作品情報| 連載(全230エピソード) | ローファンタジー〔ファンタジー〕
眼が銀に光る少年が瀬戸内海とその先に架かる明石海峡大橋を凝視しぶつぶつと呟く。スマートホンに似たデバイスを手元で操作し、額から尋常じゃない汗が出ているが、それを拭うこともせず集中している。 「立体展開‥‥‥‥‥完了。記//
N9643JF| 作品情報| 連載(全50エピソード) | ローファンタジー〔ファンタジー〕
モーメント・オブ・トゥルースの修正前の内容になります。 《旧》第一試練「紀行駆歩」 《新》第一試練「終末紀行」 新旧でだいぶ内容が変わってしまったので、一応昔の内容を保存しております。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ