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連続のなかに立つ——友情についての小さなエッセイ

短編
あらすじ
 本作は、ライプニッツ的な「世界は連続である」という形而上学的世界観を背景にしつつ、筆者自身の精神的変化と、友情という現象の本質を探究する長篇エッセイである。
 哲学研究と日々の経験が交錯する中で、筆者は「友情とは何か」「なぜ人は他者に支えられるのか」「離れた関係は本当に断絶なのか」という問いに向き合うようになる。

 全体は20章から成り、最初の章では、友情というテーマがあまりに身近であるがゆえに捉えにくいこと、そしてライプニッツの連続論が人間関係の理解に新しい光を与えることが提示される。続く章では、友情が時間的断片の集積ではなく、より深い“連続の構造”を持つことが、経験や記憶をもとに論じられる。再会の瞬間に「元に戻る」と感じる不思議さは、関係そのものが途切れていないという存在論的事実によって説明される。

 中盤では、友情が感情の共有ではなく、世界観そのものの交差として理解される。友人は、単に会話を交わす相手ではなく、自分とは異なる世界像を持ちながら、自分の内部で響き続ける存在である。そしてその響き合いこそが、人間の孤独を照らし、世界を肯定的に理解する手がかりとなる。

 終盤にかけて筆者は、友情が愛情や恋愛と対立するものではなく、人間が世界を深く理解しようとするとき自然に生じる“存在の縁(えにし)”であることを見いだす。
 別れや距離、誤解や沈黙といった一見ネガティブな出来事でさえ、関係の連続性を新たに形づくる契機として描かれる。

 最終章では、筆者自身の人生の中で交差してきた友人たちの影をたどりながら、友情が人間を支え、人間に世界を肯定させるもっとも静かな力であるという確信に至る。そして、友情は「断絶」ではなく「変化しながら続く線」であり、それを自覚することが、人間に最も深い安心と連続感をもたらすと結論される。

 前書きとあとがきでは、筆者自身の近年の心の揺れ、愛情や友情への向き合い直し、そして哲学研究との交差をふまえ、なぜこのエッセイを書かなければならなかったのかという動機が静かに語られる。

 全体を通じて、本作は「友情」という日常的なテーマを、形而上学的な深度から照らし直し、人間が世界に存在するという事実そのものを再考する試みとなっている。
Nコード
N1176LJ
作者名
目田 不識
キーワード
秋の文芸展2025 哲学 エッセイ 論考
ジャンル
純文学〔文芸〕
掲載日
2025年 11月14日 13時56分
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