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名のない贈り物

短編
あらすじ
「ははーん、そういう感じね、ふーん、ほー……」

 とあるアパートの一室。男は腕を組み、じっと床を見下ろしていた。
 その視線の先――床に転がっていたのは、人間の指だった。

 すべての始まりは、ある日、いつものようにポストを開けたことだった。小さな紙袋が入っており、中には缶詰が一つだけ。差出人の記載はない。もしかすると母親が寄ったのかと思い、後で電話で確認したが違った。
 消費期限の部分が削られており、気になったものの、缶自体には穴やへこみ、錆もなく新品に見えた。生活に困っていた彼は、ありがたくそれをいただくことにした。
 それからというもの、毎日のようにポストに何かが届くようになった。
 缶詰、カップ麺、レトルト食品、新品のシャツや靴下など、いずれも実用的で、今の彼にはありがたいものばかりだった。食品は例外なく、期限表示が削られていたが、味に問題はなかった。手料理が来たら、さすがに口にするのはやめておこうと身構えていたが、送り主はそのあたりをちゃんと心得ているようで、届くのは既製品だけだった。
Nコード
N1172KT
作者名
雉白書屋
キーワード
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ジャンル
その他〔その他〕
掲載日
2025年 07月13日 11時00分
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文字数
1,860文字
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