エラーが発生しました。
エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。
- あらすじ
- ある日の夕方、精神科医の男はパソコンの画面から顔を上げ、椅子からそっと腰を浮かせた。
音が聞こえたような気がしたのだ。不審に思い、耳を澄ます。おかしい、診療時間はとっくに終わっているし、最後に戸締りも確認したはずだが……。
男がドアに目を向けた瞬間――ゆっくりと開き始めた。
驚き、体が硬直する。そのまま目を凝らし見つめていると、そこから現れたのは――
「え、鬼……?」
凝り固まった血のように暗く濃い赤の肌。小便を思わせる濁った黄色い目。汚泥のような茶色い腰布をまとい、身の丈四メートルはあろうかという巨体。そしてその頂点には、鋭くそびえ立つ二本の角。まぎれもなく、鬼である。
しかし、もちろんそんな存在を認められるはずがなく、男は絶望した。とうとう、自分がいかれてしまったのだ、と。
鬼は静かに腰を落とし、その巨体をぐっと屈めて男と目線を合わせると、意外にも穏やかな声で言った。
「どうも、突然の訪問失礼します。私、地獄から参りました」
- Nコード
- N1052KN
- 作者名
- 雉白書屋
- キーワード
-
キーワードが設定されていません
- ジャンル
- その他〔その他〕
- 掲載日
- 2025年 05月27日 11時00分
- 感想
-
0件
- レビュー
-
0件
- ブックマーク登録
- 0件
- 総合評価
- 26pt
- 評価ポイント
-
26pt
- 感想受付
- 受け付ける
- レビュー受付
- 受け付ける
※ログイン必須
- 誤字報告受付
- 受け付ける
※ログイン必須
- 開示設定
- 開示中
- 文字数
- 3,154文字
作品を読む
スマートフォンで読みたい方はQRコードから
同一作者の作品
N7480KV|
作品情報|
短編|
ヒューマンドラマ〔文芸〕
おれは驚いた。地獄に落ちたことにではない。たいていの人間は地獄行きだと聞くし、おれ自身、警察の世話になったことはないとはいえ、胸に手を当てれば思い当たる節はいくつかある。まあ、正直なところ、どこか天国に行けるんじゃない//
N6355KV|
作品情報|
短編|
その他〔その他〕
『――県に住む男性――さんが、昨夜――』
とあるアパートの一室。湿気を含んだ重たい空気の中、男はソファに体を沈め、ぼんやりとテレビの画面を眺めていた。部屋を照らすのは、天井の黄ばんだ照明一つ。その薄暗い明かりの下、男//
N5246KV|
作品情報|
短編|
ヒューマンドラマ〔文芸〕
「……ん、はい、はーい」
ある朝、とあるアパート。インターホンのしつこい呼び出し音にせき立てられ、男は布団から這い出た。ぼんやりとした頭のまま、ふらふらと玄関に向かい、ドアを開けた。
「どうも、あなたを連行しに参り//
N3870KV|
作品情報|
短編|
ヒューマンドラマ〔文芸〕
『それで――』
『――すべきだ!』
『しかし……』
――まただ。またこの夢だ……。
男には一つ、どうにも気がかりな悩みがあった。最近、なぜだか知らないが“会議”の夢ばかりを見るのだ。
無機質な長机を囲んで、数人//
N4843KU|
作品情報|
短編|
ヒューマンドラマ〔文芸〕
「ん? なんだこれ……えっ、やばくないか……?」
とある会社のオフィス。自席で黙々と仕事をしていた彼は、背後から聞こえた声に振り返った。そこには、眉をひそめた同僚が立っており、じっと彼の頭頂部を見つめていた。
「…//
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。